2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22510223
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
石川 淳 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 室長 (40202957)
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Keywords | ゲノム / 抗生物質 / 創薬 / 生物活性物質 / 応用微生物 / 次世代シークエンサー |
Research Abstract |
本研究は、次世代シークエンサーを用いてNocardia brasiliensis IFM 0406のゲノムをシークエンスし、本菌が生産する複数の生物活性物質の生合成遺伝子の同定を試み、より多くの未知ゲノムにアプローチするための手法の確立を目指すことを目的とする。 イルミナ社製の次世代シークエンサー(GAII)を用いてシークエンシングを行った結果、7,820,006本のリードが得られ、velvetによるアセンブルの結果、1,725本(≧1kb)のコンティグを得た。これらのコンティグは、すでにクローニングされ、配列既知のブラジリノライドの生合成遺伝子をほぼ完全に含んでいたことや、コンティグの総延長が推定ゲノムサイズと一致することから、作成したアセンブリーは本菌株のゲノムをほぼ網羅していると考えられたこれらのコンティグに対してMetaGeneAnnotatorとFramePlotを用いて遺伝子予測を行い、各遺伝子をアミノ酸に翻訳した後、相同性検索やドメイン検索によって、ポリケチド合成酵素(PKS)遺伝子を含む6本のコンティグと、非リボゾーム性ペプチド合成酵素(NRPS)遺伝子を含むコンティグを少なくとも2本、さらに経路特異的調節因子(SARPファミリー)遺伝子を含むコンティグを1本見出した。これらのコンティグの周辺領域を明らかにするために、カセットPCR法を用いてコンティグウォーキングを行った結果、I型PKSを含む約20kbおよび約33kbの領域と、II型PKSを含む24kbの領域が明らかになった。I型PKSを含む領域に関しては、PKSのモジュール解析により、ブラジリノライドの生合成遺伝子であることが示唆された。一方、本菌株からはII型PKSによって生合成されるような物質は見出されていないことから、II型PKSを含む領域は、新規な化合物の生合成遺伝子である可能性が示唆された。
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