2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22510225
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
渋谷 雅明 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (50170923)
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Keywords | 生合成の人為的制御 / 生合成工学 / 異種発現系 / トリテルペンサポニン / β-アミリン / ソヤサポゲノールB |
Research Abstract |
本研究では、生合成工学を利用してトリテルペンサポニンを異種発現系で大量に供給すること、及び、骨格生成、水酸化、そして配糖化反応を人為的に制御し、多様な活性をもつ新規トリテルペンサポニンを創出することを目的としている。本年度は、高生産性異種発現系の構築に向けての研究を行った。標的化合物として、ソヤサポゲノールBを選んだ。これまで本申請者は、ソヤサポゲノールBに至る生合成全遺伝子のクローニング、及びそれらを利用しての酵母でのソヤサポゲノールBの生産に成功している。しかしながら、その生産性は形質転換酵母1L培養あたり1mg以下であった。その際使用していた3種の酵素はダイズ由来のものであったが、β-アミリン合成酵素のみ、マメ科植物から最初にクローニングされたエンドウ由来の酵素であった。使用していた遺伝子においてダイズ由来のものとエンドウ由来のものが混同して、その相性の悪さが低生産性の一因と考え、使用する遺伝子をダイズ由来のものに統一することにした。 ダイズ由来のβ-アミリン合成酵素は配列のみが、databaseに登録されている(登録番号:AYO95999.1)。しかし、このクローンは、エンドウの酵素と比較して23個のアミノ酸に相当する内部配列が欠損していた。databeseに登録されている配列を利用してPCRを行い約2.2kbpのDNA断片を得た。この断片を酵母発現ベクターに組み込んだ。得られたプラスミドをラノステロール合成酵素欠損酵母株GIL77に導入した。形質転換酵母を8L培養し、64mgの生産物を単離した。生産物のNMRを測定したところ、生産物はβ-アミリンであった。得られたクローンの塩基配列を決定した。エンドウのβ-アミリン合成酵素と90%の相同性を有していた。欠損していた23個のアミノ酸も明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、トリテルペン水酸化酵素、及び配糖化酵素のクローニングと機能解析を研究目的に据えた。そのうち、配糖化酵素のクローニングに重点を当てて研究を行った。候補遺伝子を10数個に絞り込み、大腸菌発現ベクター、及び酵母発現ベクターに組み込み、機能解析を行った。すべてのクローンに対しての結果は未だ出ていないが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
形質転換酵母内の基質の供給不足も低生産性の原因の一つと考えられ、スクワレンエポキシダーゼをクローニングし、形質転換酵母での共発現を試みる。
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