2010 Fiscal Year Annual Research Report
陸棲シアノバクテリアが営む無水生活様式を司る機能性分子の解明
Project/Area Number |
22510227
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
坂本 敏夫 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (70324069)
|
Keywords | 極限環境生物 / 抗酸化活性 / 細胞外マトリクス / 紫外線 |
Research Abstract |
陸棲シアノバクテリア(Nostoc commune)は乾燥状態で100年以上の長期にわたり生命を維持し,吸水することによって生命活動を再開する。本研究は,細胞外マトリクス,紫外線吸収物質,抗酸化物質に着目し,これらの機能性分子の詳細な役割を明らかにすることを目的とする。(1)紫外線吸収物質マイコスポリン様アミノ酸(MAA)を精製して化学構造解析を行うとともに,抗酸化活性の解析を行った。吸収スペクトラムの異なる2種類のMAAが検出され,どちらも新規の化学構造を持ち,抗酸化活性を示すことが明らかになった。(2)細胞外マトリクスに含まれているタンパク質について網羅的解析を行った。細胞外マトリクスタンパク質の70%以上を占める主要タンパク質は,既に報告のある水ストレスタンパク質(WspA)であった。WspAの他に7種のタンパク質が検出され,細胞外マトリクスの機能に関わると考えられるものとしてカタラーゼ,スーパーオキシドディスムターゼ,およびフェリチンが同定された。(3)Nostoc属シアノバクテリアについて光合成による酸素発生量を指標として乾燥と凍結に対するストレス耐性を調べるとともに細胞外多糖を比較解析した。Nostoc punctiforme M-15株は乾燥および凍結に対する耐性を示した。Nostoc sp.PCC 7120株およびNostoc comune KU002株は乾燥耐性を示さず,凍結耐性のみを示した。Nostoc muscorum M-14株は乾燥および凍結に対して感受性であった。野外に生育しているN.communeから細胞外多糖を精製し構成単糖を分析した。主成分はグルコース,キシロース,ガラクトース,マンノースおよびグルクロン酸であった。
|
Research Products
(6 results)