2010 Fiscal Year Annual Research Report
共生微生物に由来する植物代謝遺伝子誘導因子の同定とその役割の解明
Project/Area Number |
22510238
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青木 俊夫 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (80287606)
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Keywords | 根粒菌 / フラボノール / エリシター / 化学シグナル / 共生 |
Research Abstract |
植物に広く分布するフラボノイドの一種フラボノールは,マメ科植物と根粒菌との共生過程において重要な役割を果たすことが示唆されているもののその役割や生合成調節機構について明確な知見が乏しい.本研究では,フラボノール生合成の鍵酵素フラボノール合成酵素(FLS)をコードする遺伝子の発現調節を手がかりにこの問題に取り組む.平成22年度では,FLS遺伝子の誘導因子を同定するための生物検定法の確立に重点を置いて研究を実施した,ミヤコグサにはFLSのパラログが3種存在するため,定量的リアルタイムPCRによって各パラログの器官特異的発現を調べたところ,FLS1は根粒,FLS2は茎,FLS3は花弁でそれぞれ最も強く発現することが明らかとなった.そこで,FLS1遺伝子のプロモーターの下流にレポーター遺伝子としてβ-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を連結したベクターを構築した.これを土壌細菌Agrobacterium rhizogenes ATCC15834株に導入し,ミヤコグサの胚軸に接種した後いくつかの過程を経て無限増殖が可能な毛状根培養を確立した.こうして得られた毛状根がFLS1遺伝子誘導因子の検定に使用できるかどうかを検証するため,根粒菌培養液を毛状根に投与したところ,いずれの条件でもGUS遺伝子の発現が見られなかった.試みに,正常なシュートと毛状根とが結合しているコンポジットルートを作製したところGUSの発現が確認された.すなわち,FLS遺伝子の発現には地上部の存在が必須であることが初めて明らかとなった.一方,FLS伝子誘導活性の検定には毛状根培養系が不適当であることがわかったため,同じベクターを導入して形質転換植物体を作製する準備を行った.
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