2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22510242
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹本 千重 独立行政法人理化学研究所, システム研究チーム, 上級研究員 (40306527)
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Keywords | リボソーム / 結晶構造解析 / tRNA / 修飾塩基 / コドン認識 |
Research Abstract |
遺伝情報の正確な発現は、核酸塩基間の特異的な水素結合形成によって実現されている。アミノ酸とmRNA上のコドンを対応させるtRNAには、その精度を保つために塩基が修飾を受けている例が多数あるが、修飾塩基Lysidineは、tRNA^<Ile>_2への導入によって、アミノ酸受容能をMetからIleに、コドン認識能をAUGからAUAへと変化させる。本研究では、このユニークな性質を裏付ける構造基盤を得るために、リボソーム上でtRNA^<Ile>_2がコドンと塩基対を形成している複合体のX線結晶構造解析を行う。これにより、Lysidineがコドン認識能を拡張するメカニズムの構造的情報を得ると同時に、修飾塩基が異なる分子種の機能解析と総合して、コドン認識を拡張する修飾塩基の構造と機能について、生物の生存戦略の視点から合理的な解釈を試みることを目指している。 当該年度は、試料調製に重点をおき、テスト実験からのスケールアップを図った。まず、再現性よく結晶化できるクオリティのリボソーム調製法を検討し、低分解能ではあるが、リボソームの結晶を安定して得られるようになった。また、大腸菌のtRNA混合物から、配列特異的に単一のtRNAを精製する固相化プローブ法によって、tRNA^<Ile>_2の精製を試みた。まず、配列相同性が高く、存在量の多い開始tRNA^<Met>_fを先に精製してから、残りの画分からtRNA^<Ile>_2を精製した。想定される量のtRNAが精製できたが、単一成分とは言い難いので、FPLCでの精製を進める予定である。今後は、アミノアシルtRNAとEF-Tuを用いて、tRNAとリボソームの複合体の結晶化スクリーニングに着手すると共に、大腸菌tRNA^<Ile>_2の修飾塩基の詳細解析を、連携研究者の東京大学の鈴木健夫助教に依頼する。
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