2011 Fiscal Year Annual Research Report
淡水魚類群集の多様性を創出する一時的水域の環境特性と魚類の繁殖に対する機能の解明
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22510245
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
古屋 康則 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30273113)
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Keywords | 生物多様性 / 環境評価 |
Research Abstract |
生息環境調査 一時的水域の環境特性を明確にするために、一時的水域が形成される調査地を含め、8カ所の調査地点を設定し、1年間にわたって月に2回の水質調査を行った。この調査により、各調査地点における水温、pH、電気伝導度、濁度、水深、溶存酸素濃などの1年を通じた変動が明らかとなった。 魚類の生殖周期の調査 (1)コイ科:一時的水域で繁殖する魚種を含め、春から夏にかけて繁殖を行う全8種類のコイ科魚類について、1年にわたって定期的に採集を行い、生殖腺の発達様式と繁殖期を調べた。その結果、配偶子形成を開始する時期の違いから、秋開始型、冬開始型、春開始型、および産卵期開始型の4つの型に分けられた。これらの型の違いは、配偶子形成開始のための環境要因(日長および水温)の違いから説明できた。一時的水域で繁殖すると考えられる魚種では、秋に配偶子形成を開始し、翌春には成熟直前の状態に達し、降雨による一時的水域の形成を待っている状況にあると考えられた。 (2)ナマズ:一時的水域で繁殖を行うナマズについて、生殖腺の成熟状態と降雨の関係性を調べた。生殖腺体指数(GSI)は春季に高く、夏季には低下し、秋季には若干の増加が見られた。春季のGSI値と降雨または河川水量の間には明瞭な相関は認められず、一時的水域と生殖腺の最終成熟との関係は示すことができなかった。一方、秋季に採集された個体において、成熟直前の配偶子が確認され、ナマズが春と秋の2回、繁殖を行っている可能性を示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の採択が半年遅れたことから、当初の計画よりも研究開始が半年遅れた。本研究の対象とする魚種の繁殖期がおもに春から夏であるため、初年度の繁殖期における研究ができなかったことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
採択が半年遅れたことにより、繁殖期におけるテータの採取が当初の目的とは異なり1回分少なくなった。このため、昨年度は生殖周期の解析を中心に研究を遂行した。今年度は野外調査でデータを取り残している項目についてデータを集めることで、対処する予定である。
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Research Products
(8 results)