2011 Fiscal Year Annual Research Report
野外および飼育下からなるコウノトリのメタ個体群における遺伝的管理の最適化
Project/Area Number |
22510248
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
内藤 和明 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (50326295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大迫 義人 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (40326294)
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Keywords | 生態学 |
Research Abstract |
コウノトリの遺伝解析に使用できるマイクロサテライト遺伝子座の数を増やすため,昨年度に使用可能であることを確認したものに加えて,新たなプライマーについて利用可能性を評価し,計12遺伝子座が利用可能になった.豊岡にいる飼育下および野外のコウノトリ個体群に存在する遺伝子型をできる限り網羅できるように,繁殖ペアとして成立している個体を中心に,繁殖実績はないがロシアの野生個体群から飼育下に導入された個体を加えた,32個体(飼育下の19個体および野外の13個体)について遺伝子型を特定した。その結果,遺伝子座当たりの遺伝子型数は平均5.33(最小2,最大16,n=12)で,ヘテロ接合度の期待値は平均0.64(最小0.45,最大0.91,n=12)であった. 中国に生息する23個体での解析結果が既存の文献において示されている6遺伝子座について,本研究課題で解析した結果と比較した.遺伝子座当たりの遺伝子型数は本研究課題での平均5.00(最小2,最大7,n=6)に対し,中国の個体群では平均6.17(最小4,最大8,n=6)であり,いずれの遺伝子座においても本研究課題での遺伝子型数が1つないし2つ少なかった。ヘテロ接合度の期待値も本研究課題での平均0.60(最小0.29,最大0.81,n=6)に対し,中国の個体群では平均0.72<最小0.49,最大0.85,n=6)と高かった.このことから,豊岡にいる飼育下および野外のコウノトリ個体群の遺伝的多様性は,中国の個体群のそれよりも若干低いことが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プライマーの新規開発が円滑に進まず,解析使用する遺伝子座の選定に時間を要したため.
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Strategy for Future Research Activity |
未解析の個体についてできるだけ多く遺伝子型の特定を進める.飼育個体群と野外個体群それぞれの遺伝的多様性の程度を解析し,それぞれの集団における遺伝的多様性維持の方策について検討する.
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