2010 Fiscal Year Annual Research Report
強制収容所の教育―移民国家カナダにおける国民意識形成と民族意識の相克
Project/Area Number |
22510256
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
溝上 智恵子 筑波大学, 大学院・図書館情報メディア研究科, 教授 (40283030)
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Keywords | 学校教育 / カナダ / 移民史 / カトリック教会 |
Research Abstract |
本研究は、第二次世界大戦中に自国民でありながら、自国政府であるカナダ連邦政府から強制収容措置を受けた日系カナダ人の学校教育の実態を明らかにする。 強制収容所の学校教育システムを構築することには連邦政府が関与したものの、学校教育の内容については、強制収容所が設置されたブリティシュ・コロンビア州の規則に準拠していた(カナダは連邦制を採用しており、教育は州の権限下にある)。そのため、具体的な教育内容については、当時のブリティシュ・コロンビア州のそれと比較検討しなければならないことから、研究初年度にあたる平成22年度は、バンクーバー公共図書館とともに、日系カナダ人研究の大規模なコレクションを有するブリテッィシュ・コロンビア大学図書館およびカナダ日系博物館所蔵の関連資料を精査した。加えて、バンクーバー在住の体験者や日本在住の体験者に対して半構造化インタビュー調査を実施し、1次情報を収集した。その成果の一部は、関連文献の日本語訳出版にいかすとともに、解説論文として公表した。 なお、これまでの日系カナダ人収容所関連の先行研究では、ほとんど言及されてこなかったカトリック教教会関係者による学校教育支援策を明らかにするため、集団で日系カナダ人が集団移動した最初の収容地であるブリティッシュ・コロンビア州グリーンウッドを訪問調査した。グリーンウッド博物館に収集されている資料から関連の情報を収集するとともに、体験者へのインタビュー調査を実施した。
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