2014 Fiscal Year Annual Research Report
強制収容所の教育―移民国家カナダにおける国民意識形成と民族意識の相克
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22510256
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
溝上 智惠子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (40283030)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学校教育 / カナダ / 日系カナダ人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第2次世界大戦中に自国民でありながら、自国政府から強制収容措置を受けた日系人の学校教育の実態を明らかにした研究である。具体的には(1)カナダを対象に日系人の強制収容所内の学校教育の全体像を明らかにする、(2)同様の政策を採ったアメリカとの比較を行うことで、カナダの特徴を抽出する。そして(3)従来人種差別主義の犠牲としての側面が強調されてきた日系人の強制収容の歴史に、あらたな視点を提供することで、国際社会において、多様なアクターによるコミュニティ支援を考究した。 具体的には、まず、強制収容所内の学校教育については、連邦政府機関であるブリティッシュ・コロンビア保安委員会(BCSC)が初等教育の実施担当者だったが、教員の派遣を行わなかったため、収容者で教員資格を有しない若い日系2世によって、英語で授業が実施され、日本語は禁止されていた。ついては、本研究では、カナダ国内関連機関が収集・保存している強制収容所関連の政府文書や個人資料、さらには強制収容所体験者に対する直接聞き取り調査から、収容所内の学校教育の全体像を明らかにした。なお、初等教育に関しては、BCSCが関与した部分については、先行研究で一部明らかにされているので、それらを参考にする一方、BCSCが関与しなかった初等教育(グリーンウッドの事例)の実態を詳細に検討した。 またBCSCは中等教育を管轄外としたが、キリスト教教会関係者が収容所で高校教育を支援していた。この教育に関しては,これまで簡単な概略のみが紹介されているだけなので、関係者の追想や文書および教会関係文書をもとに明らかにした。カナダと同様に日系人を強制収容したアメリカの学校教育システムと比較検討することにより、カナダの特徴を抽出した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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