2013 Fiscal Year Annual Research Report
現代パレスチナ文化の動態研究―生成と継承の現場から
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22510257
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
山本 薫 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (10431967)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パレスチナ / イスラエル / アラブ / 文化研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現代パレスチナ文化の担い手たちの思想・実践・アイデンティティ及び彼らを取り巻く政治・経済・社会環境を、作品の分析に加えて、当事者たちへの聞き取り調査や活動の現場の実地調査を通じて明らかにすることにある。 25年度は、国内外で大きな成果が得られた。まず、ここ数年、山本が研究対象としてきたパレスチナのラップミュージシャンたちの姿をとらえたドキュメンタリー映画『自由と壁とヒップホップ(原題Slingshot Hip Hop)』の一般公開が、24年末より日本全国の映画館で始まったが、これは元々山本が20年12月に東京外国語大学の事業として本作の上映会を実施したことがきっかけとなったものであり、今回の映画公開に合わせて再来日したジャッキー・リーム・サッローム監督との対談の他、講演や論考の発表など、これまでの研究をさらに進展させ、その成果を一般に公開する機会を得ることができた。 海外調査については、昨年度の現地調査でその重要性が確認されたカッターン財団について、9月に研究協力者の田浪氏がラーマッラー本部のゲストハウスに約ひと月滞在して調査や講演を行う機会を与えられた。3月には再びパレスチナ・イスラエルに出張し、今回はイスラエル領内を中心に、NGOの調査を行った。また、往路にはロンドンを訪問し、山本と共にカッターン財団のロンドン本部を訪問、理事長で著名な映画プロデューサーでもあるオマル・カッターン氏に財団設立の経緯や理念、活動について聞きとり調査を行う貴重な機会を与えられた。一方、山本は別の研究プロジェクトでの海外出張の機会を利用して、ロンドンに加えてベイルート(レバノン)でも調査を行い、パレスチナ難民キャンプで活動する若手アーティストや、難民の青少年を対象にした文化・芸術活動を行うNGOなどの調査を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度は、ここ二年ほど、隣国シリアの情勢悪化を受けて調査が出来ていなかったレバノンで調査を行うことができ、また、初のイギリスでの調査も敢行したことで、大きな成果を得ることができた。パレスチナ・イスラエルでの調査も確実に進んいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が本研究の最終年度となるため、これまでに蓄積した資料やインタビューなどの成果を整理し、最終報告書の作成につなげていく。海外調査については、追加の資料やデータの収集のため、パレスチナ・イスラエルへの出張を次年度も実施する予定である。
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