2011 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア沿岸域における生態資源ポテンシャルの動態
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22510262
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
渡邉 一哉 山形大学, 農学部, 准教授 (80406892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 太 山形大学, 総合地球環境学研究所, 研究員 (60442539)
吉川 尚 東海大学, 海洋学部, 講師 (80399104)
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Keywords | 生態資源ポテンシャル |
Research Abstract |
研究成果は2つに大別される (1)理化学調査. 対象としている生態資源は、カキ・ハイガイを中心とした二枚貝類である。調査地であるバンドン湾は、タイ国内最大の産地であると同時に、その養殖方法は極めて粗放的であることが特徴である。このように、ヒトの介入度が低く、かつ高い収量が維持されるためには、生産地(=バンドン湾)そのものが、高い生産性を持っていることが考えられる。そこで、二枚貝類の餌資源となる植物プランクトンの生息量からバンドン湾の生産性を評価することとした。調査はバンドン湾内の任意の測点で採水を行い、試薬を用いてプランクトンを固定、検量するというものである。同時に、溶存酸素量、水温、pH、塩分濃度など基礎的な情報の計測も行った。なお、プランクトン量はH24年度にも行い2季(雨季・乾季)の2回ずつの測定結果を持って評価を行う。なお、その他の計測項自では、高い水温、典型的内湾でありながら高い溶存酸素量、浅い平均水深(2.9m)でありながら塩分濃度に濃度差が認められるといった、特徴的な結果が得られている。 (2)社会科学調査 Kanchanadit郡の漁村3か所を中心に聞き取り調査を実施した。理化学調査を補完する生産量情報の収集ができ、過剰収奪や環境劣化などが起こっていないことが推察された。また、毎年のように洪水被害が起きており、特にH23年度は季節外れの大規模洪水により、養殖域全域で大きな被害が起きた。洪水は短期的視点で見れば負の要因であるが、長期的視点に立つとむしろ生産性維持に不可欠な要素として考えられる可能性を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従った調査を実施できていることが主たる理由である。また、新たな発見もあり、研究の発展性にも期待ができている。一方で、行政が管理している基盤情報などに未入手のものもあり、これらを総合的に評価して今回の自己評価結果とした
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Strategy for Future Research Activity |
理化学調査は定点観測の目処が立ち、連続的な環境動態を捉えられると期待できる。入手が困難であった行政が管理している基盤情報についても、タイ国の大学機関などの協力を得られることになり入手の可能性が高まった。よって、これまで同様の調査方法を維持しつつ、本研究の命題を完遂する予定である。
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