2010 Fiscal Year Annual Research Report
HIV/AIDS問題に対処するローカルな公共性の構築に関する研究
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22510263
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 真如 京都大学, 東南アジア研究所, 特定助教 (10444473)
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Keywords | HIV/AIDS / 公共性 / アフリカ |
Research Abstract |
エチオピアの南部州グラゲ県において、2010年7月29日から8月25日までHIV/AIDS問題に関する現地調査を実施した。グラゲ県エナモル・エナル郡保健局および同郡内の保健所を訪問し、HIV検査および治療の実施状況について資料収集を行うと共に、地域のHIV陽性者への支援について聞き取り調査を行った。また同郡およびグラゲ県ウォルキテ市において、HIV/AIDSの影響を受けた世帯を訪問し、聞き取り調査を行った。その結果、次のことが明らかになった。(1)グラゲ県では近年、HIV予防への意識の高まりからHIV検査の普及が著しく、未婚者だけでなく既婚者のあいだでも検査を受ける者が増えてきた。その結果、既婚者のHIV感染例が以前よりも多く報告されるようになった。またその中には、いわゆるHIV不一致カップル(一方がHIVに感染しており、他方が感染していないカップル)に該当する事例があることも知られるようになった。地域の保健所に勤務するヘルスワーカーは、陽性者や不一致カップルを訪問し、新たな感染を予防しながら陽性者の健康を維持するための指導を行っている。(2)HIV/AIDSの影響により主要な働き手を失った世帯の中には、地域社会から孤立し、生計の維持が困難となっている例がある一方で、HIV/AIDSの影響を受けた世帯に対して地域住民が積極的に労働力を提供し、その生計を支えている事例も見いだされた。 また上記調査の他、HIV/AIDS問題に関する公開シンポジウムを2011年6月5日に開催しアフリカのHIV問題について意見交換を行った。本シンポジウムは社団法人京都府国際センターおよび特定非営利活動法人アフリカ日本協議会との共催で実施し、アフリカでHIV問題に関わるNPO関係者、研究者、学生、市民等が参加して活発な討論を行った。
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