2010 Fiscal Year Annual Research Report
カナダ社会における「白人」支配の動態的・構造的考察-境界管理のポリティクス
Project/Area Number |
22510269
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
細川 道久 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (20209240)
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Keywords | カナダ / 白人性 / 移民 / 中国人移民 / アジア系 / 優生思想 / イギリス帝国 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
本研究課題では、19世紀末から20世紀前半までの時期を中心に、カナダ社会における「白人」と「非白人」の間のグレイゾーンに注目し、「白人」支配層がグレイゾーンに位置する人々(あるいは、グレイゾーンに関わる行為)をどのように管理していたのかについて考察を行なうことで、「白人」と「非白人」の境界の流動性、あるいは、「白人」と「非白人」の領域の相互浸食性を析出する。そうすることで、グレイゾーンの存在が「白人」支配を危うくしていた側面を明らかにし、従来一枚岩的に描かれがちであった当該期カナダ社会の「白人」支配の動態的・構造的実相の解明を目指す。 初年度にあたるH22年度は、「白人」の外なる脅威として中国人移民に注目し、彼らが日常・労働の場においてどのような規制を受け、彼らと「白人」との境界がいかに管理されていたのかについて、「白人女性労働法white women's labour laws」と呼ばれる法律を中心に考察した。同法について、主としてトロント大学ローライブラリにて資料調査を実施し、同法の内容、制定時期・地域などについて分析検討し、州・地域間の相互影響や差異などを含め、大方の動向を把握することに努めた。 州・地域によって何故に差異が生じたのか、さらに検討を重ねるためにはカナダ社会の人口動態等についての調査が必要なこと、「白人女性労働法」あるいはそれに類似する法律がアメリカ合衆国に存在しないようであり、加米比較の可能性を探る必要があること、さらには、中国人移民以外のアジア系や先住民の処遇などについても多角的に分析する必要があることなど、今後の研究方針についても検討を行なった。
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Research Products
(8 results)