2011 Fiscal Year Annual Research Report
カナダ社会における「白人」支配の動態的・構造的考察―境界管理のポリティクス
Project/Area Number |
22510269
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
細川 道久 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (20209240)
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Keywords | カナダ / 白人性 / 移民 / 中国人移民 / 日系移民 / イギリス帝国 / 優生思想 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、カナダ社会における「白人」支配の動態的・構造的実相を解明することにある。具体的には、19世紀末から20世紀前半までの時期に焦点をあて、当該期のカナダ社会が「白人」と「非白人」の境界に位置する人びと(あるいは、その境界を行き来するなどの行為)をいかに管理していたのかについて考察する。この考察を通して、「白人」と「非白人」の境界が実際には曖昧で流動的であったことを明らかにすることで、これまで一枚岩的に描かれてきた「白人」支配が実際には揺らぎをもっていたこと示すことを意図している。 2年目にあたるH23年度は、初年度に実施した「白人女性労働法(white women's labour laws)」に関する史料調査を踏まえて、同法を制定したサスカチュワン、マニトバ、オンタリオ、ブリティッシュ・コロンビアの4州のほか、ケベックやアルバータなど他州の動向について(制定されなかったが、類似の法律が制定されたか否かなど)考察を行ない、サスカチュワン州から他州へと波及していった状況を析出した。加えて、同法の制定・改正・廃棄の動きが、カナダ内部のみならず、カナダ、中国、日本、インド、イギリスの5者間の関係に影響をうけていた点を突き止めることができた。これは研究課題設定当初にはなく、予想外の収穫であった。 過去2年間実施してきた「白人の外なる脅威」(=非白人)の処遇に関する考察を「白人の内なる脅威」(=白人の中の「非白人」)の処遇のあり方と結びつけることによって「白人」の支配構造を描くことが今後の課題であり、それに向けて必要な研究視角の検討もあわせて実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の3年間で「白人の外なる脅威」(=非白人)の処遇に関する考察を実施し、4年目の最終年度にその考察結果を「白人の内なる脅威」(=白人の中の「非白人」)の処遇に関する考察と結びつけるという当初の計画以上に進捗していると判断したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終目標は、「白人の外なる脅威」(=非白人)の処遇に関する考察を、「白人の内なる脅威」(=白人の中の「非白人」)の処遇に関する考察と結びつけ、「白人」と「非白人」の境界の流動性、「白人」と「非白人」の領域の相互浸食性を析出することで、「白人」の支配構造を描くことにあり、来年度からそれに着手する予定である。また、そのために必要な分析視角などの参照枠を学ぶため、他国、とりわけアメリカ合衆国の「白人(性)研究」の研究成果・動向の摂取に努める。ら
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Research Products
(9 results)