2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロネシア連邦でのデング熱媒介蚊の分布調査と予防対策のための地域社会調査
Project/Area Number |
22510271
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
野田 伸一 鹿児島大学, 国際島嶼教育研究センター, 教授 (60112439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶋 俊介 鹿児島大学, 国際島嶼教育研究センター, 教授 (10164419)
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Keywords | 社会医学 / 気候変動 / 感染症 / デング熱 / 蚊 |
Research Abstract |
2011年8月にミクロネシア連邦のウエノ島・ロマヌム島およびピス島で蚊の分布調査を実施した.ウエノ島とロマヌム島はチュック環礁の内側の島,ピス島は環礁の上に位置する島である.ウエノ島ではAedes hensilli, Ae.albopictus, Ae.lamelliferus, Aedes sp., Culex quinquefasciatus, Cx.carolinensis, Cx.annulirostrisおよびLutzia voraxの8種,ロマヌム島ではAe.scutoscriptus, Ae.hensilli, Cx.quinquefasciatusおよびCx.carolinensisの4種,そしてピス島ではAe.scutoscriptus, Ae.hensilli, Aedes sp., Cx.quinquefasciatus, Cx.carolinensisおよびCx.annilirostrisの6種が採集された.ミクロネシア連邦では2011年末にパラオ,ヤップおよびマーシャルでデング熱患者が発生しており,本地域でデング熱の媒介種であるAe.hensilliとAe.albopictusが採集されたことからデング熱の流行に注意を要する状況にあると考えられた. デング熱の媒介蚊の発生源は空き缶やプラスチック容器のような人工容器がほとんどであった.島民の食生活は輸入食品に依存する割合が高く,消費によって小容器が廃棄されることになり,蚊の発生と住民の食生活に密接な関係が認められた.現在,住民の食生活に関する調査を継続している. ヤップでは2011年末にデング熱の流行があったことから,その状況調査を行った.地域事情・対策・実施キャンペーンツール・罹患状況・協働体制等についての資料を入手した.また,廃棄物対策や上下水の処理について州政府関係者と同行し確認した.廃棄物事情に関しては改善が見られ,山間部での掘削集積方式が導入されていた.今後,続的な蚊対策が必要であり,そのためには実施組織の育成が重要であると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミクロネシア連邦のポンペイ州とチュッ州におけるデング熱媒介種の分布状況を明らかにすることができ,この情報はすでにミクロネシア州政府に提供した.島民の食生活は輸入食品に依存する割合が高く,消費によって小容器が廃棄されることになり,蚊の発生と住民の食生活に密接な関係が認められた.現在,住民の食生活に関する調査を継続している.
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Strategy for Future Research Activity |
ミクロネシア地域でデング熱の流行が発生することを憂慮して企画した研究であったが,研究2年目の2011年末にパラオ,ヤップおよびマーシャルでデング熱の流行が発生した.このような状況から,まだ調査を行っていないミクロネシア連邦のコスラエ州で蚊の分布調査を実施し,政府への情報提供を行う.最終年度であることから,本研究を早急にまとめ,デング熱対策に関する提言を行う予定である.
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