2010 Fiscal Year Annual Research Report
フランス語圏アフリカ諸国におけるフランス語とアフリカ諸言語の共存に関する研究
Project/Area Number |
22510274
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
砂野 幸稔 熊本県立大学, 文学部, 教授 (60187797)
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Keywords | 言語政策 / フランス語 / フランコフォニー / 公用語 / 地域語 / マリ / カイ / モロッコ |
Research Abstract |
今年度は、西アフリカのマリについて文献資料に基づく研究を行うとともに、9月末から10月はじめにかけて、マリ西部のカイ州の州都カイで開かれた地域言語使用に関する国際シンポジウムに参加し、カイ州で行われている地域言語振興と行政等における使用実態について、州政府、地域の各種団体および現地で活動する国際NGO等との情報交換を行った。 カイ州では、マリ全土に普及しているバンバラ語のほか、カソンケ語、ソニンケ語、フルフルデ語が主要言語として話されており、ラジオ放送など、口頭言語としての使用についてはそれらの地域言語の使用が広く行われているが、行政などにおける文字言語としての使用については、一部で熱心な試みも行われているが、いまだ非常に限られた範囲にとどまっており、地域言語による識字についても十分な成果があがっているとは言えない状況である。フランスのNGOの支援で進められようとしていた地域語振興のプロジェクトも、最近の治安状況の悪化などのために、当面新たな展開は望めない状況にあるが、今後も現地およびフランスNGOとの連絡を保持し、情報収集を継続する予定である。 西アフリカのフランス語圏アフリカ諸国の多くは、同時にイスラーム圏にも属し、モーリタニア、モロッコ、アルジェリア等のアラブ圏に属する旧フランス領諸国とも政治的、文化的に深いつながりを持っている。旧フランス領であり、現在もフランス語が教育、行政言語として重要な位置を占めているが、公用語はアラビア語としているそうした諸国の状況との比較も行う必要を認識し、平行してモーリタニア、モロッコについての文献調査も開始し、2月には北アフリカのモロッコにおいて現地調査を行った。今回は都市部のみの短期間の調査にとどまったが、フランス語が教育言語として用いられているにもかかわらず、都市部においても、一部エリート以外にとっては実質的には不完全な外国語の知識にとどまっていることが確認できた。
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