2011 Fiscal Year Annual Research Report
フランス語圏アフリカ諸国におけるフランス語とアフリカ諸言語の共存に関する研究
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22510274
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
砂野 幸稔 熊本県立大学, 文学部, 教授 (60187797)
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Keywords | 言語政策 / フランス語 / セネガル / 教育言語 / アラビア語 / ウォロフ語 / マリ / モーリタニア |
Research Abstract |
本年度は、マリ、モーリタニアに関する文献調査を継続するとともに、セネガルに関してダカール大学の研究者と連絡を取りながら、セネガルにおける初等教育へのセネガル諸言語の導入状況に関しての情報を収集し、平成24年2月から3月にかけて現地調査を行い、チエス地方プート県カイ村の小学校において、初等教育段階における言語教育の実態を調査した。 2001年から段階的に実施され、その後全般化されることになっていた初等教育導入段階におけるセネガル諸言語の使用は、現在においても限られた実験校における実施にとどまっており、昨年ダカール大学の研究者によって行われた調査によれば、実施されている実験校においてもまだ試行錯誤段階にとどまっているようである。現地調査を行ったカイ村の小学校では、まだ新制度は導入されていないが、実態としては、導入段階は、公式には使われないことになっているウォロフ語に大きく依存する教育となっている。生徒の多くはセレール人であるが、教員と生徒のコミュニケーション言語は実質的にはウォロフ語である。他方、現在ではアラビア語教育も初等教育の初年度からカリキュラムに入っている。この小学校では生徒のほぼ全員が、入学時点でウォロフ語とセレール語の二言語話者であり、何人かはすでにコーラン学校でアラビア語の手ほどきを受けている。ただ、アラビア語を言語として修得するものの数は限られているある。フランス語の習得についても、生徒たちと実際に言葉を交わしてみると、小学校修了段階では比較的優秀な生徒以外については、その水準はあまり高くない。 また、政権交代を受けて、ワッド政権十年間の教育言語政策の評価について、ダカール大学IFAN名誉教授アラム・ファル氏、応用言語学研究所教授スレイマン。ファイ氏へのインタビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セネガル、マリ、モーリタニアを中心として、西アフリカのフランス語圏諸国の言語政策、言語状況について、それぞれ一度ずつ現地調査を行っており、文献調査についても順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
マリ、モーリタニアについては治安状況の悪化のため現地調査を再度行うことは困難と思われるが、必要に応じて現地研究者と連絡を取りながら文献調査を中心に行い、セネガルについては再度現地調査を行う予定である。また、フランスにおける資料調査についても、セネガル現地調査の前後のパリ滞在時に行う予定である。 最終年度となるため、本研究の総括に向けて、国内外の研究者との情報交換を行いつつ、多言語社会研究会等において中間発表を行い、報告書作成の準備にかかる予定である。
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