2011 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ半乾燥地域社会の複合的「なりわい」とその現代的特質に関する研究
Project/Area Number |
22510280
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
石山 俊 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト研究員 (10508865)
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Keywords | アフリカ / サハラ南縁 / 半乾燥地 / なりわい / 穀物農業 / 家畜 / 砂漠化 |
Research Abstract |
平成23年度は、設定した研究テーマに沿って文献資料の調査と、現地調査を行った。現地調査は穀物の収穫期である平成23年11月におこない、半乾燥地でもっとも重要ななりわいである穀物農業に関するデータを収集することができた。 アフリカ、サハラ南縁の半乾燥地は、長い間降雨や気温などの環境変動に晒されてきた地域である。この地域は、現在でもアフリカ乾燥・半乾燥地域で広く栽培されているソルガムやトウジンビエといった穀物の原産地でもあり、地域住民は不安的な環境とつきあいながら、これらの穀物を主体としたなりわいを営んできた。他方、1960年代末からサハラ南縁を見舞った干ばつは、地域住民の生活に大きなインパクトを与え、なりわいの構造に少なからぬ変化を与えたというのが本研究においてたてられた仮説である。このなりわい構造の変化には、環境要因だけではなく、地域の政治・経済・社会要因炉大きく関与しているという面を考慮することも本研究の主題を「なりわいの現代的特質」としな理由である。 平成23年度までの研究成果として、この40年来主に干ばつ傾向によって、穀物の収穫量が不安定かつ減少傾向にあり、自給用穀物の不足を補う手段として、家畜の飼育が広まったことが明らかになった。さらに、調査対象地一帯では、金鉱の開発が広くおこなわれ、穀物の収穫不足の折には、金鉱への出稼ぎ労働も重要であることが明らかになった。また、政府系の援助機関からのマイクロ・クレジットの融資を受ける、穀物不足を見越した消費量の節約、野草を穀物に混ぜることによる主食の増量などの対策が世帯ごとにとられていることが明らかになった。 こうした研究成果発信として、学会等での発表、論文執筆が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的に即して現地調査、文献調査が進捗している。また、研究発表、論文執筆などの成果公開も開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
今までのところ、当初の研究計画に沿っておおむね順調に研究が進捗している。これまでの研究の中で、調査対象地域を中心として、広域のデータを収集する必要が生じてきたため、今年度の現地調査では主な調査地よりも100-150km南への範囲を考慮に入れながら研究テーマに沿ったデータを収集し、分析する予定である。
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Research Products
(1 results)