2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22510283
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石黒 久仁子 東京大学, 社会科学研究所, 助教 (90573915)
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Keywords | ジェンダー / 経済・労働 / マネジメント / キャリア開発 |
Research Abstract |
当研究は、日本企業における女性社員のマネジメントの中心ポジションへの進出の遅さを、日本企業・外資系企業の人事管理制度を中心に比較分析・考察することを目的として開始した。当該年度は、先ず諸外国における女性と雇用、キャリア形成に関する先行研究のレビューと、外資系企業(アパレル、消費財、金融、エンターテイメントなど)の人事担当者へのヒヤリングを並行して実施した。外資系企業の調査からは、主に目標管理制度と職務給制度に基づく個別の人事管理が進展と、男女共に与えられる公平な機会と報酬が女性のマネジメントポジションへの進出を後押ししていることが見出され、企業内の人事制度の重要性を確認した。一方、これまでの国内の女性・育児・福祉政策が、企業の国籍に関わらずビジネスの場における女性の能力・技術育成と進出を阻害している点も浮き彫りになった。文献からは、女性政策が進んでいる欧州諸国の政府-企業-個人の三者の関係性における、男女平等思想の浸透と女性のマネジメントへの進出の促進が概観された。そこで研究のスコープを外国企業に広げ、現地企業とそこに勤務する女性達へのインタビューを研究に含めることとし、H23年4月に英国を訪問、British Sociological Associationでの発表を実施した。発表内容について欧州各国の研究者よりフィードバックを得ることができたが、そこで見出されたのは、欧州各国においても、一般的に女性の縁辺労働化やマネジメントへの進出の機会の男女差は未解決の問題であり、事例を基にした質的データの収集の重要性と、欧州(特に北欧諸国)に対する安易な礼さんは適切でないことが明らかになった。政府の女性・育児・福祉政策と企業のマネジメント戦略の不整合の問題は、現代の各国社会に偏在する可能性が高く、今後の研究を通じて、更に分析を深める必要性が確認された。
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Research Products
(1 results)