2011 Fiscal Year Annual Research Report
視覚資料の活用による、初期グローバル化時代中国の思想文化史のジェンダー化研究
Project/Area Number |
22510285
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
坂元 ひろ子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (30205778)
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Keywords | 漫画 / 中国近現代史 / ジェンダー / 図像資料 / 思想文化 / 纏足 / 革命 / 梁白波 |
Research Abstract |
アジア・世界規模での思想文化の連鎖的な様相をみせる近現代に豊富な漫画・写真・映画などの視覚資料を活用して思想文化史のジェンダー化をはかることを目的とする本研究において、2011(平成23)年度は日中戦争期の女性表象に関するワークショップの開催を考えていた。しかし、辛亥革命百周年の年にあたり、いくつかの国際シンポジウムに招聘されたため、予定を変更し、日中戦争期については前段階の魯迅ら左派文人に好まれた『漫画生活』の分析にとどめ、中国新感覚派モダニストと左派との分岐・相克と双方における女性に対する近代性への椰楡そして被害者視との関係を図像から読み解いた。夏には内モンゴル大学での「図像資料と歴史研究」国際シンポジウムで討論、北京でも資料収集をした。11月には成都での四川辛亥革命曁尹昌衡国際シンポジウムで「辛亥革命と社会性別」を報告、資料調査もおこなった。12月には辛亥革命100周年記念国際シンポジウム(神戸会議)で「辛亥革命とジェンダー:革命に耐える/進化を見せる装置(試論)」を報告した。これらの報告のために、革命前夜の『図画日報』と同時期の『開通画報』『浅説画報』『図画新聞』などを精査し、画報という新たなメディア空間において、女性の纏足の解除および知識の獲得が「進化」を示す装置として機能していたこと、集団行動をする女性の表象の出現の意味などを解明した。さらに12月末に招聘された台北の中央研究院近代史研究所では、中国近代知識建構与知識伝播研究群学術演会において「清末民国思想史研究と歴史想像力」の講演・討論をおこない、漫画資料調査もおこなった。ただ、当地で死去した女性漫画家梁白波の伝記資料の捜索は非常に困難であることが判明した。3月にトロント、ニューヨークに行き、アジア学会に参加、バータ美術館で纏足靴のコレクションを調査し、ジョーン・ジャッジ、ドロシー・コウ教授らと意見交換をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時代の順序は前後したが、清末の画報分析による思想文化史のジェンダー化が深められたことで、日中戦争期の問題の所在の方向づけが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度に予定した国際シンポジウムの開催を変更し、6月の台湾、中央研究院近代史研究所主催の第4回国際漢学会議で「近代中国の戦争とジェンダー(1937-1950)」分科会がもたれ、招聘されていることから、ここでの報告(「漫画におけるモダンガールと抗日戦争」)・組織者の中国近代女性史研究者の游鑑明教授らとの討論において所期の目的をとげたい。そのほか、画像分析は本務校および中国において継続しておこなう。2013年度は国際シンポジウムで成果報告をし、本研究の最終的な総括にかかり、できれば単行本にまとめる。
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Research Products
(6 results)