2010 Fiscal Year Annual Research Report
新生殖技術の倫理的妥当性に関する基礎的研究ー生殖意識のジェンダー差異調査を中心に
Project/Area Number |
22510292
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
浅井 美智子 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (10212466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 正博 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (80192780)
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Keywords | 生命倫理 / 生殖補助医療 / 家族 / 親子 |
Research Abstract |
日本における新生殖技術の臨床実施に対しては法的規制はない。とりわけ、体外受精における提供胚や代理懐胎などは親子関係を複雑にすることから日本産科婦人科学会では会告での実施を否定しでいる。しかし、かなりの日本人が海外でこれらの生殖を行っている。日本国内でも一医師が提供卵による生殖や代理懐胎・出産を実施している。法的規制のないまま実施され続けることは、これまで生きられてきた親子関係に混乱と変更を迫るようになることが予測される。 本研究では、新生殖技術の実施がどのように受けいれられているのかを「自然」という指標で検証し、その倫理的妥当性を探ることを目的として行っている。代表の浅井は過去、新生殖技術に対する女性の意識をその「自然観」とう調査を4回行った。この研究では初めて、新生殖技術に対する男性の「自然観」を問う調査を行った。調査は、日本全国の600名の男性の回答を得た(インターネットによる調査)。調査結果は現在集計中であるが、有意な結果が予測される。まず、体外受精を行った人、その結果子どもを得た人が6~7パーセントいた。現在、日本における出生数は100万人ほどであるが、その2パーセント以上が体外受精児であることから、今回の調査は妥当な結果であることが了解される。また、提供配偶子、代理懐胎に関しては概ね否定的であった。これは過去の調査した女性の意識と合致する。生殖における近代家族の性愛に対する意識が強く現われていると見ることができるだろう。この調査では、同性のパートナーかいる被検者がいた。海外ではホモセクシュアルの人々が新生殖技術を使って子どもを得ている。今後日本でも、このような人々の生殖への回路が開かれるかどうか検討する必要があると思われ、新たな課題を見出した。
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Research Products
(1 results)