2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
直江 清隆 東北大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (30312169)
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Keywords | 技術哲学 / 技術の知識論 / 人工物の機能 / 組織倫理 |
Research Abstract |
技術という実践的営為、実践的知識のありかたについて統合的な解明を目指すべく、本年は従来の研究をサーベイし、(1)人工物の機能の存在論、(2)設計に関する科学論・知識論、(3)人工物が帯びる規範性、の三点から逐次文献研究を進めた。この3点は絡み合った一連の問題の三側面であり、個別の問題には人工物の機能の固有性を別挟するために必要なかぎりで立ち入るにとどめた。 その成果の一部として科学技術社会論学会で報告を行った。同報告では、技術哲学の多様な問題の中で技術の知識論や存在論が占める位置関係を明らかにし、具体的実践と結びつけて技術哲学を進める上で、日本の技術発展との関連性をより強く意識すべきことを課題として提示した。これは本研究がいかなる進む方向をとるかを定めるためものであると同時に、これから日本で技術哲学を導入し、展開していくためのマップを製作しようとしてものである。また、人工物の帯びる規範と関連して、技術者倫理に関する論文執筆を公表した。この論文は、人工物とそれが設計され、運用される組織/集団とを関係づけて考察する試みであるが、技術の規範論を展開する上で組織倫理との密接な関係が必要であることを明らかにした。以上の研究と平行して、技術の規範の基礎となる教育や、日本の技術論に対する背景となる思想史の研究を行った。
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