2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520003
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
直江 清隆 東北大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (30312169)
|
Keywords | 技術哲学 / 技術の知識論 / 人工物の機能 / 専門知 |
Research Abstract |
技術という実践的営為、実践的知識のありかたについて統合的な解明を目指すべく、本年は従来の研究をサーベイし、(1)人工物の機能の存在論、(2)設計に関する科学論・知識論、(3)人工物が帯びる規範性、の三点から逐次文献研究を進めた。この3点は絡み合った一連の問題の三側面であり、個別の問題には人工物の機能の固有性を別挟するために必要なかぎりで立ち入るにとどめた。 その成果の一部として応用哲学会科学で報告を行った。同報告では、技術哲学の多様な問題の中で技術の知識論や存在論が占める位置関係を明らかにし、具体的実践と結びつけて技術哲学を進める上で、日本の技術発展との関連性をより強く意識すべきことを課題として提示した。その内容の一部は『思索』に論文として発表した。また、技術社会論学会での報告では、技術の知識論の一部としていわゆる工学的判断がいかなる専門知の上に形成されるかを具体的事例に則して報告した。これは、工学的判断というあいまいで、しかし設計にとって決定的な意義をもつものに対する哲学的アプローチの第一歩である。併せて、東日本大震災後の原発事故に関連して、技術哲学がいかなる方向で議論を行うべきかについてシンポジウム報告を行い、本研究の実際的意義を明らかにしようと努めた。哲学研究が現場状況といかに切り結ぶべきかは、とくにこの分野において現在的に問われているからである。以上の研究と平行して、技術の規範の基礎となる教育や、日本の技術論に対する背景となる思想史の研究を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、人工物の機能や規範に関する研究成果を出し、かつ東日本大震災後の状況で必要とされる事柄に取り組めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、社会的規範との関わりでの人工物の機能・規範について研究を進める。
|
Research Products
(8 results)