2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520005
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
清塚 邦彦 山形大学, 人文学部, 教授 (40292396)
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Keywords | 画像 / 描写 / 類似性 / 絵 / 分析美学 / ピーコック |
Research Abstract |
平成22年度は、絵画的描写の理論における類似説の検討を中心に研究を実施した。 類似説については古今さまざまな形態が存在する。現代の分析美学においては、ゴンブリッチやグッドマンらの批判的議論が大きな影響を及ぼしてきたが、一方で、Christopher Peacocke,"Depiction"(1987);Robert Hopkins,Picture,Image and Experience(1998)らによる弁護論も行われ、いまだその帰趨は見えない状況である。こうした状況をふまえ、ピーコックやホプキンズらによる類似説弁護論の是非を吟味してみようというのが本研究初年度の目的である。とはいえ、この目的のためには、近年における描写論の問題状況全体をあらためて見直してみる必要があることが、検討のなかで次第に明らかになってきた。近年において類似説の弁護論が登場してきた背景には、絵画的な描写をめぐる論議の枠組み自体が変動しているという事情(いわば、絵画をめぐる精神風土の変化とでも言うべきもの)があるように思われるからである。結果的に22年度の研究は、そうした描写論の枠組みの変化を見きわめる作業に費やされることとなった。具体的には、John Hyman,The Objective Eye(2006)およびJason Gaiger,Aesthetics and Painting(2008)等の著作を手掛かりに検討を行った。ただし、その成果の公表はもう少し先になる見通しである。
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