2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520005
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
清塚 邦彦 山形大学, 人文学部, 教授 (40292396)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 画像 / 作品 / 存在論 / 想像 / 描写 / 感情 / フィクション |
Research Abstract |
平成24年度は、画像の問題と関連する二つの美学上の争点について踏み込んだ検討を行った。 第一は、前年度から取り組んできた作品存在論をめぐる検討である。これについては、絵画や彫刻を念頭において、作品をただひとつかぎり存在する物理的な個体と同一視する見解と、音楽や文学を念頭に、作品をむしろ普遍的なタイプと見なす見解とが対比されてきた。本研究でも、こうした慣例を踏襲し、まずはこの対比の趣旨と問題点について基礎的な検討作業を進めた。その成果の一部は共著本『これが応用哲学だ!』に所収の拙論において発表したが、その後も、ウォルハイム、グッドマン、ウォルターストーフ、レヴィンソン、カリーらの関連議論について、検討を続けている。 第二は、当初の予定に掲げた感情表現と関連する研究である。本年度は、特に画像に限定せず、虚構的な内容をもった作品全般を視野に入れた形で、受け手側の感情的反応の問題をめぐる分析美学における検討状況の確認を行った。しばしば「フィクションのパラドックス」の名称で論じられるこの問題についてはすでに多くの文献が存在するが、拙論「実在しない事柄をよろこび、かなしむこと」では、多様な見解を大きく三つのグループに整理した上で、それぞれの代表例として、ラマーク、ウォルトン、キヴィの議論を取り上げて批判的に論評した。ただし、それらはいずれも尊重すべき美点を持っており、それらを生かした形での理論的展開が望ましい、というのが拙論の暫定的結論である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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