2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520017
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
石井 潔 静岡大学, 法人本部, 理事 (80176130)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 批評 / クリティカル・シンキング / 多様性 / 多文化共生 / 市民科 |
Research Abstract |
まず文献研究については、テキスト解釈における批評的相互言及性を重視するポール・ド・マンの一連の著作とそれとは対照的に伝統的共同体の共有文化の存在に重点をおくガダマーの解釈学関連の著作、また更に日本的文脈における解釈学の位置づけに関わって「近代の超克論」関連の文献、仏教思想における「批判仏教」関連の文献等の収集と分析を行った。このような分析を通じて、解釈学的循環を担保する全体性を前提することは、「批評」的実践のもつ積極的な意味を限定することにつながること、また仏教思想における天台本覚思想の「空の空」の立場もシニカルな保守主義に道を開く点で、解釈学的な思想的立場同様、批評性の軽視を生むことなどを明らかにすることができた。以上の研究成果について、関連学会のワークショップや批判理論に関する研究会等で報告し、多様な情報交換を行うことができた。更に同じく相互批評性を欠く思想的立場としての科学技術万能論が1920年代以降1960年代までに果たした役割を特に科学者、科学思想家として有名なJ.D.バナールに焦点をあてて分析し、論文「<力>としての科学から<批評>として科学」を発表した。 また実地調査については、「対話」という形での相互批評性を重視する言語教育についての京都教育大学附属小・中学校の教育実践研究協議会、及びシチズンシップ教育に焦点をあてたお茶の水女子大学附属小学校の教育実際指導研究会に参加し、前者においては登場人物間の架空の会話という形での授業展開を通じた「批評」性の涵養という方法についた、また後者においては、政治的リテラシーに重点をおいた批判的市民の形成についての深い議論やキャリア教育、パフォーマンス評価等の重視とシチズンシップ教育の内在的連関等について新たな知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)