2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520022
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
出口 康夫 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20314073)
|
Keywords | 分析アジア哲学 / 華厳算術 / 十数(銭)の喩え / 華厳宇宙論 / 華厳仏身論 / 超限華厳算術 / 分析形而上学 / 非古典論理 |
Research Abstract |
出口は、連携研究者・佐野と協力して、両名の共著論文"Kegon Arithmetic"の修正・加筆を続け、12月にその最終バージョンを確定した。それと並行して、出口と海外共同研究者であるG.プリーストは、上記論文も収録される予定の英文論文集The Moon Points Back(仮題)の編集を進め、12月には全原稿をOxford University Pressに提出した。これらの作業の一環として、出口は、プリーストを、7月にはメルボルン大学に、9月にはニューヨーク市立大学に訪ね、当科研費研究全般にわたる共同研究・研究打合せを行うとともに、来年度11月に京都で開催される予定の「分析哲学の東アジア的展開」国際ワークショップに向けた研究計画をも策定した。なお同ワークショップにおける研究成果は、再来年度に発刊される予定の国際誌Philosophy East & Westの特集枠を利用した公刊される予定であるが、出口やプリーストは、他の研究者の協力も仰ぎ、この雑誌特集に関する研究計画をも推進した。また出口は9月にカリフォルニア州立大学ノースリッジ校にて招待講演を行い、同校の八木沢敬教授らと「華厳算術」を中心とする「分析アジア哲学」に関する議論を行った。 これらの国際的な活動と並行して、出口は、華厳思想の一次資料を中心とする文献読解・分析作業を進めた。具体的には、「華厳算術」として得られた、華厳思想に対する可能世界論的な解釈の枠組みに、形而上学的な内実を盛る努力がなされた。特に、法蔵の宇宙論・仏身論に関する研究が進められると共に、田辺元の法蔵の「十数の喩え」に対する批判へ答える形で、「華厳算術」を「超限数」をも扱う体系へと拡張する試みがなされた。これらの研究の進展に伴い、本研究の最終成果として発刊される予定の『即の論理の再構築』の執筆構想もより具体化し、それについて、担当の編集者と協議を重ねた。
|
Research Products
(5 results)