2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22520025
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新島 龍美 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 准教授 (50172606)
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Keywords | 古代ギリシア哲学 / アリストテレス / 『大道徳学』 / 翻訳 / テクスト校訂 |
Research Abstract |
本研究は、アリストテレス作と伝えられてきた『大道徳学』について、(1)新たなテキストの批判的校訂、(2)得られたテキストに基づく当該作品の内在的分析、(3)析出された『大道徳学』の内容がアリストテレスの道徳哲学の全体像の解明に与える貢献の考察、更には、(4)アリストテレス倫理学が近世以降の主要な倫理学説・道徳理論に対する選択肢の一つであることを介して、『大道徳学』の研究が実践哲学・道徳哲学一般の研究にも関連する可能性を探る、といった重層的研究を行うことをその目的とする。 本年度は、1.諸写本のコピーを入手する作業を進め、入手できた一部写本の解読を行った。 2.Teubner版テキストを基にしつつ、1.の成果をも勘案しながら、新たなテキスト校訂の作業を進めた。 3.上記1.及び2.の成果を踏まえつつ、翻訳の作業を続行し、岩波書店より刊行予定の新アリストテレス全集第14巻所収の『大道徳学』全巻の翻訳を完成させると共に解説を付し、原稿を出版社に送付した。平成24年度中に出版の予定である。 解説の内容を簡単に摘記するならば、(1)『大道徳学』の「大」という表記の持つ意味の解明、(2)『大道徳学』の真偽問題に関連して、(1)文体上のスタイルについて、前置詞、副詞、代名詞及び動詞の用法を分析すると共に、(2)内容上の特徴として、幸福(エウダイモニア)概念の占める位置、哲学史的概観の存在、プラトンの魂の三部分説への言及、徳の説明における情念の側面の強調、知性的徳が後景へ退いていること、悪徳の人と無抑制の人との区別の曖昧化、などの点を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.写本の取得を進めているが、残されたものも少なくない。他方、2.来年度完成予定であった翻訳及び解説が今年度中に完成した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.引き続き、写本の取得とそれに基づくテキストの校訂を行う。 2.内容上の分析を行い、『大道徳学』のアリストテレス倫理学における哲学的意味の解明を行う。
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