2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520027
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
柏葉 武秀 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (90322776)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 出生前診断 / 障害学 / 倫理学 |
Research Abstract |
研究計画最終年度においては、二年間の研究成果に基づき、規範倫理学の議論を踏まえながら障害学が突きつけた諸問題に一定の回答を試みるべく、出生前診断とそれに基づく選択的中絶の問題に取り組んだ。「障害を持つことは不幸なのか」「障害新生児が生まれないように人工妊娠中絶を許容することと、現に生きている障害者への差別とは論理的に無関係である」などのある種の生命倫理学が発する常套句を吟味している。 具体的には、McMahanの''Causing Disabled People to Exist and Causing People to Be Disabled''という論文を主たる検討対象にしている。McMahanによれば、障害者権利擁護運動あるいは障害学研究者は、障害を善悪無記の、つまりは価値中立的な性質とみなすという前提に立って、出生前診断を批判している。つまり、障害をもつことを、危害などの道徳的に悪い事象だと決めつけるからこそ、出生前診断が正当化されると、障害学陣営の論者が批判しているという。だが、McMahanはこのような批判の含意は恐るべきものだと主張する。もし、障害学からの出生前診断批判が妥当だとすると、それは障害児が生まれる蓋然性が高いドラッグを、そうと承知して摂取して妊娠する女性を非難できない。それどころか、妊娠中に胎児を傷つけて、障害を負って出生させる行為も非難できない。McMahanはこのような辛らつな批判を障害者権利擁護運動あるいは障害学研究者に突きつけている。 現在執筆中の論文において、このMcMahanを慎重に検討している。その成果は、2013年度の紀要に発表される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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