2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520030
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
久保 陽一 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (70119098)
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Keywords | ヘーゲル / 論理学 / 分析哲学 / 存在論 / ドイツ観念論 / 生 / 認識 / 自己関係 |
Research Abstract |
1. 初期から後期にいたるヘーゲル論理学の発展史および布置の研究に関しては、編著『ヘーゲル体系の見直し』(理想社)と拙著『生と認識超越論的観念論の展開』(知泉書館)において、一定程度解明した。-ヤコービによる観念論批判(1799年)の挑戦を受けて、フィヒテ、シェリング、ヘルダーリンなどと共に、ヘーゲルは、「表象の客観的実在性の根拠づけ」という超越論的観念論の課題を、「生の認識」という立場で捉え直した。その結果、ヘーゲル論理学は、「生」・「導入」・「体系」の相互連関の中で、「理念」そのものの自己根拠づけとして成立するという、論理学の位置づけと意味が明らかになってきた。 2. 後期の論理学そのものについては、主に『エンツュクロペディー』の「論理学」の序論と「存在」論の箇所を精読した。その結果、始元論、『大論理学』の初版と二版の関連などの問題について、一定程度理解が深まったが、まだ研究の途上にある。それと関連してイーバーや寺沢の解釈をも研究し、問題に対して理解を深めた。 3. イエナ論理学の翻訳、精神現象学の論理学の研究はまだ充分に行なえていない。 4. イェシュケの『ヘーゲル・ハンドブック』の翻訳(共訳)は少し前進したが、全体として余り進んでおらず、完成にいたっていない。 5. ブランダムの"Articulationg Reasons"の翻訳(共訳)は少し進み、彼の認識論が、現代の「信頼性主義」や「外在主義」の議論を受け止め、それを社会的な次元で展開したという点などについて、理解が深まった。 6. 渡邊二郎の著作集の編集、解題執筆、ドイツ語論文の翻訳を行ない、シェリング研究において得るところが大であった。
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Research Products
(4 results)