2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520030
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
久保 陽一 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (70119098)
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Keywords | ヘーゲル / 論理学 / 関係 / 存在論 / 分析哲学 / ドイツ観念論 / ハイデッガー / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
ヘーゲル論理学について発展史的にまた分析哲学との関連において研究するために、当初おもに「精神現象学の論理学」およびニュルンべルク・ギムナジウム論理学を研究するとともに、ブランダムの"Articulating Reasons"の翻訳を進めていた。その途中で病気・入院によって、平成23年度の後半は十分に研究できなくなった。その後、病気が快復し研究に復帰し、平成23年度では実現できなかった研究計画の部分を、平成24年度に持ち越して遂行した。 その結果、「精神現象学」の「緒論」について、日本ヘーゲル学会のセミナーで発表し、その原稿を25年3月に駒澤大学の紀要「文化」31号に掲載した。また、関連するドイツ観念論については、旧著「ドイツ観念論への招待」を改訂し、24年12月に文庫本(ちくま学芸文庫)として公刊した。また、本来24年2月に行う予定であった、招へい外国人研究者の講演会を、通訳(満井裕子氏)と講演原稿の翻訳者(渋谷繁明氏・三重野清顕氏)の協力のもとで行った。すなわち、25年2月28日午後2時ー6時に、駒澤大学・246大学会館において、マンフレッド・フランク教授(チュービンゲン大学)が「同一性と非同一性との同一性」という題目で、クリストフ・ヤメ教授(リュ―ネブルク大学)が「始原的思惟と世界市民主義」という題目で講演を行い、それに基づき討論を行った。その後、懇親会を行い、意見交換をはかった。また、3月2日に新潟大学で行われたシンポジウム「同一性を超えて」に参加し、フランク、ヤメ、栗原隆氏の発表に対する総括と代表質問を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヘーゲル論理学の発展史に関して、イエナの「関係の存在ー認識ー論」から「現象学の論理学」を経て「ニュルンベルク・ギムナジウム論理学」までの展開については、ある程度見通しをつけることがきた。しかし、その後の「大論理学」のテキストそのもの分析にはまだ至っていないし、ブランダムの翻訳も一部進めたにとどまっている。 他方、関連分野や周辺部分、とくに「精神現象学」、ドイツ観念論、日本近代哲学、ヘーゲル論理学研究史については、若干前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘーゲルの「精神現象学」と「論理学」のテキストの読解を大学のゼミなどを通して進める。イェ―ナ論理学について書いたドイツ語論文"Unendlichkeit und Erkennen" (今年秋に公刊予定)を、ケルン大学で発表し、討論を行う。また、9月に台湾で行われる、アジア・ヘーゲル研究者ネットワークの創設会議に参加し、ヘーゲルの専門的研究の発表と日本ヘーゲル研究事情に関する報告を行い、国際交流をはかる。さらに日本のヘーゲル論理学研究史(フェノロサ、清沢、田辺、高橋、武市など)を調査し、その成果をドイツ語論文にまとめ、共編著"Hegel in Japan"(来年4月刊行予定)に掲載する。 同時並行的に、ブランダム"Articulating Reasons"と"イェシュケ"Hege-Handbuch"の翻訳を進め、完成と出版をめざす。また日本ヘーゲル学会主催の「精神現象学」セミナーでの講演のため「道徳」章を研究し、7月末に講演を行う。
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Research Products
(3 results)