2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520030
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
久保 陽一 駒澤大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70119098)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | ヘーゲル / 論理学 / 存在論 / 関係 / ドイツ観念論 / 分析哲学 / 日本近代哲学 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
当初、おもにヘーゲルのニュルンベルク時代の論理学講義(アカデミー版ヘーゲル全集第10巻)を研究し、イエナ論理学から「大論理学」にいたる発展についていくつか新たな知見を得て、それを6月に開催された日本ヘーゲル学会のシンポジウムにおいて発表した。その発表原稿の短縮・改訂版を「ヘーゲル論理学研究」(平成24年12月)に、「ヘーゲル論理学は関係の存在ー認識ー論である」という題で掲載した。 夏に、戦前の日本におけるハイデガーとヘーゲルの受容に関するドイツ語論文を執筆し、ドイツの雑誌「ベルリン・シェリング研究」に寄稿した。9月上旬に志社大学で行われた、フィヒテに関する座談会に参加し、フィヒテとシュルツェ、ヤコービ、ヘルダーリンの関係について報告した。9月末に日本ヘーゲル学会主催の「精神現象学」セミナーにおいて、「精神現象学」理性章冒頭について講演を行った。 12月下旬にドイツ・リュ―ネブルク大学に集中講義に行き、日本近代の哲学とヨーロッパ哲学の関係についてドイツ語で講義と討論を行った。その時の講義原稿を「駒澤大学総合教育研究部紀要」(平成25年3月)に掲載した。 ブランダムのArticulating Reasonsの訳稿を一部まとめた。イェシュケのHegel-Handbuchの編訳をさらに進め、平成25年3月初めに編集者会議を催し、進捗状況を点検し、今後の課題を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヘーゲル論理学の発展史に関して、特にニュルンベルク・ギムナジウムの論理学講義の内容を調査し終え、それによって、イエナ論理学から「現象学の論理学」を経て「大論理学」に進展する事情が、体系構想の変化との関連において一部明らかになった。しかし、まだ「大論理学」のテキストそのものの分析に十分に入りえず、研究は半ば途上にある。分析哲学の研究もブランダム訳を一部進めたにとどまっている。 他方、関連分野や周辺部分、とくにヘーゲル「精神現象学」、Hegel-Handbuch、ドイツ観念論、日本近代哲学については、若干前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘーゲル論理学については、「大論理学」「小論理学」のテキストの読解を大学のゼミなどを通してすすめるだけでなく、イエナ論理学について既に書いた論文をドイツ語にして、9月に台湾で行われるヘーゲル関連学会で発表し、アジアの研究者と交流をはかる予定である。また、可能であれば、7月下旬にドイツ・ケルン大学に行き、ヘーゲル論理学について講演を行うとともに、分析哲学的観点からヘーゲル論理学を研究しているエンゲルハルト氏と意見交換を行う。また、とりわけ日本のヘーゲル論理学ないし弁証法の研究史(フェノロサ講義、田辺元、高橋里美、武市健人など)をまとめる必要があり、それに新たに取り組む。さしあたり今年12月までにこれら日本人のヘーゲル論理学研究を調査し、その成果を来年2月までにドイツ語の原稿にして、共編著"Hegel in Japan"(来年4月に刊行予定)に掲載する。さらに、来年4月に行われる国際ヘーゲル学会(ウィーン)において、ヘーゲルとドイツ観念論に関する発表をめざす。また、同時並行的にブランダム翻訳を前進させる。 Hegel-Handbuchの共訳作業は大詰めに来ており、できれば、今年中に完成させるように努力する。 また日本ヘーゲル学会主催の「精神現象学」セミナーのため、「道徳」章を研究し、7月初めに講演を行う予定である。
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Research Products
(7 results)