2010 Fiscal Year Annual Research Report
身体動作の認知現象学--心の科学の方法論的拡張を目指して
Project/Area Number |
22520033
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
長滝 祥司 中京大学, 国際教養学部, 教授 (40288436)
|
Keywords | 身体動作 / 一人称的観点 / 二人称的観点 / 意図 / メディアとしての身体 / 心的内容 |
Research Abstract |
本年は、「現象学を認知科学に応用するにあたって、現象学の方法論と概念装置を本研究の観点から精査、再鋳造すること」と「その成果を踏まえ既存の実験パラダイムに対して認知現象学的方法論の応用を試みること」の一部を中心に、課題を遂行した。 前者に関わる成果として、"On the Methodology of Science of Mind"と"Describing Mental States and Bodily Behaviors"を発表した。これらの発表で申請者は、心の科学についての一人称的記述と二人称的記述の可能性と、そこから得られる成果のロボット工学への応用可能性について論じた。ロボットにおいて、人間の心をロボットのような機械で実現するこれまでの方法として、GOFAIのようなトップダウン的方法とブルックス以降のボトムアップ的方法とがあるが、本発表では、両者を融合させる方法論についても考察した。また、"On What Mediates Our Knowledge of the External World"では、前者の課題に関わる現象学的身体論と哲学的存在論については論じた。 後者については、作業療法士(作業療法士を心的状態を身体動作から読み取る「訓練された観察者」の素養をもつ者であるという仮説で実験を構築している)を対象とする実験と、アスリートの身体動作についての映像撮影とそれにもとづいたインタビューによって、データを蓄積している最中である。 また、"Joint Attention Realized in a Robot with Intentional Agency"は、本課題と連動する研究課題「認知ロボティクスの哲学」(代表者:柴田正良)との共同研究による成果である。そこでは、本課題の成果を取り込みつつ、意図をもつかに見えるロボットを製作し、ロボットの人間とのインタラクションを心理学的実験によって検証した。
|