2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520034
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
加國 尚志 立命館大学, 文学部, 教授 (90351311)
|
Keywords | 哲学 / 文学 / メルロ=ポンティ / 存在論 / 芸術 |
Research Abstract |
今年度は、科学研究費補助金交付以前の研究の継続を行ない、そのいくつかの成果を学会等で発表した。平成22年9月に、早稲田大学におけるハイデガー・フォーラム第5回大会で「私はこの世ではとらえられない-クレーをめぐるメルロ=ポンティとハイデガー」を口頭発表した。この発表は、メルロ=ポンティにおける芸術作品の概念をハイデガーのそれと比較し、そこに見られる「見えないもの」の意義を存在論的に明らかにしたものである。この発表では文学との関わりは取り上げられなかったが、後期メルロ=ポンティにおける芸術概念の輪郭を明らかにすることができ、今後の研究の準備作業として十分な内容となった。また、メルロ=ポンティ研究の国際的雑誌Chiasmi Internationale 12に論文Le corps aux limites de la representation.Theorie du corps et de la peinture chez Merleau-Ponty.を発表した(フランス語)。本論文は、メルロ=ポンティにおける身体と絵画表現を問題にしたものであるが、同時に、詩人の身体と言語についての考察を含むものであり、当該研究の成果となるものである。この研究をフランス語で国際的に発信できたことの意義は非常に大きい。また交付以前の研究成果を公刊したものではあるが、メルロ=ポンティ哲学における身体論と言語表現の関係を日本の詩歌表現とクロード・シモンの比較という形で論究した「私は今ここであそこにいる-メルロ=ポンティの身体論と空間論」を『臨床哲学の諸相 空間と時間の病理』(木村敏・野家啓一監修 河合教育文化研究所)に掲載した。本論文は、後期メルロ=ポンティ存在論における文学考察を哲学上の空間論と結びつけたものとして、本研究の主要な論点を描出したものである。
|
Research Products
(5 results)