2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520034
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
加國 尚志 立命館大学, 文学部, 教授 (90351311)
|
Keywords | 哲学 / 文学 / 道徳 |
Research Abstract |
平成23年度は、研究文献の収集と読解に取り組みながら、『立命館文学』第625号(立命館大学人文学会、2012年2月刊行)に「メルロ=ポンティ哲学における文学と両義性」を発表した。本論文は、メルロ=ポンティ哲学における文学への言及を、戦後から1950年代にかけて精査することにより、メルロ=ポンティ存在論における文学の位置づけを、その道徳的側面に関して明らかにすることを試みたものである。本論文は、当初の研究目的としての、メルロ=ポンティ哲学における文学の位置づけを、具体的にボーヴォワールの作品やモンテーニュへの言及、また1950年代の学会での討議などの資料をもとに、「両義性の道徳」の観点から示そうとしたものであり、1950年代のメルロ=ポンティ哲学における文学論を明らかにすることができ、研究実施計画の順調な遂行を示すものであった。この研究成果を踏まえ、平成24年度には、メルロ=ポンティの哲学における文学の位置づけとして1952-1953年度講義におけるヴァレリーやスタンダールらへの言及に取り組むことができるようになった。こうした研究継続と一貫性の観点からも、平成23年度の研究成果は当初目的を達成するものであったということができる。なお、発表そのものは平成24年5月になったが、国際コロック"Merleau-Ponty ou la philosophie a l'epreuve de l'ecriture"(2012年5月5日フランス・パリ、エコール・ノルマル・シュペリウールにて)でのフランス語発表原稿"La chair du monde-l'expression ontologique de Merleau-Ponty a travers des romans de Claude Simon"の準備を行い、科学研究補助費を執行してネイティブ・チェックなどを行った。研究成果の国際的発信という点で、充実した準備を行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に記した、1950年代のメルロ=ポンティの文学言及を研究するという目的を達することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、1950年代から1960年代初頭にかけてのメルロ=ポンティの文学言及を研究し、それを公表する。具体的には、2012年5月4,5日にフランス(パリ)での国際コロックでその成果を発表する。
|
Research Products
(1 results)