2012 Fiscal Year Annual Research Report
フッサール身体論の変遷と転回:「世界」概念との連関を軸として
Project/Area Number |
22520038
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 康文 石川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (50302336)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 哲学 / 倫理学 / 思想史 / 現象学 / 身体論 |
Research Abstract |
本研究の課題は、フッサールの身体論の変遷と転回をたどり、特に彼の中期から後期・最晩年にかけての身体論がいかなる内在的動機付けに基づいて転回したのかを明らかにすることである。さらに身体に関わる事象で、その身体機能が発揮される条件としての世界の位置づけを、彼がどのように捉えなおしたかを辿る。この課題を達成するため、本年度も、昨年度、一昨年度と同様にドイツケルン大学フッサール文庫に滞在して、資料収集とその分析および解釈を行った。 本年度はフッサールの1910年代から1930年代までの身体論および時間論を中心にして、身体が具体的な運動をしているときに、感覚与件(ヒュレー)および運動感覚(キネステーゼ)、内的時間意識がいかに係わっているのかについて分析した。特に運動感覚に随伴的に伴っている自己意識のあり方に関して考察し、運動感覚と内的時間意識との統合を試みた。 以上の成果の一部を、学会発表「振るまいと気づき:フッサール現象学を手がかりとして」のなかで明らかにした。この発表では、寓話「ムカデのダンスと蛙」を事象としてとりあげ、自己運動とその(後からの)反省、および運動遂行中の気づきについて分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイツケルン大学フッサール文庫に滞在して、フッサールの身体論に関する遺稿の資料収集にあたり、その資料分析に従事した。 またその分析をもとにして、平成24年度に身体論に関する学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も、フッサール著作集の身体論および時間論に関する彼の論考を分析すると共に、ドイツケルン大学のフッサール文庫で遺稿の資料分析に従事する予定である。
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