2012 Fiscal Year Annual Research Report
カント批判哲学による「平和教育」の形而上学的基礎づけ
Project/Area Number |
22520039
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
中村 博雄 長野工業高等専門学校, 一般科, 教授 (90141887)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 平和教育 / 人格教育 / 教育原理 / 道徳的目的論 / 自由 / 自律 / カント批判哲学 / 形而上学 |
Research Abstract |
申請当初の計画(1・2・3)に従って研究を進め、次のような成果を得ることができた。 1.「平和教育」の形而上学的解析:カント独自の道徳的目的論に基づいて、次のように解析した。(1)「平和教育」の要は「人格教育」にあり、「人格」概念が問題の核心である。(2)カントによれば、「人格」は「自由(自律)」の主体である。そして、「自由」概念は人間存在に本質的なア・プリオリな概念である。(3)この概念の普遍性は批判哲学によって、また、その実践可能性はカント独自の道徳的目的論によって形而上学的に根拠づけられる。 2.「平和教育」の実践・実現の課題と解決策:(1)カントの道徳的目的論によれば、新「教育基本法」の目的・目標である「平和教育」は、実現可能な教育であり、それを可能にするのは「人格教育」である。(2)「人格教育」の原理は、第1に「自由(自律)」であり、第2に「自己の完成」「他者の幸福」の道徳目的論的自覚である。(3)「自由(自律)」の実在性と普遍性はカントの「批判的」方法によって、また、その実践・実現の可能性はカント独自の「道徳的目的論」によって根拠づけが可能である。④「教育基本法」に関する、ひいては「教育」そのものに関するこれまでの(そして現在の)議論に決定的に欠けていた(欠けている)論点は、以上の「人格」概念の形而上学的理解であった。教育関係者がこのことに気づき、教育論の本筋に立ち戻ることを願ってやまない。 3.総括:最終段階として、3年間の研究成果を2冊の著書(1冊はドイツの研究者との共編著、1冊はドイツ語による単著)としてまとめ、日本およびドイツで出版した(下記〔図書〕欄参照)。さらに、この2書から、次の研究課題の着想が得られ、平成25年度科研費(基盤研究(C))に申請し、採択された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)