2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520042
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丸山 宏 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00229626)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 道教儀礼 / 『度人経』 / 台南 / 海澄県 / 科儀書の手抄本 |
Research Abstract |
本研究は、道教儀礼の伝統の中で、六朝時代の『霊宝経』の中でも、特にいわゆる『度人経』の救済理論が果たした儀礼史上の役割に注目し、霊宝儀礼の伝統を研究対象とし、台湾および福建などの東南中国におけるこの儀礼伝統の具体的な資料にもとづき、その歴史的現代的な意義を解明することを目的としている。平成24年度は、3年目の最終年度であるが、以下のような研究項目を実施した。しかし計画していたすべての研究項目の実現に到っているわけではない。 平成24年度の実績としては、23年度末にイギリスの大英図書館において筆録した清代福建の道教科儀書の手抄本を、台湾の台南の同類の手抄本と綿密に比較し、福建・台湾の地域的な特徴の検討や中国宗教史の多様な問題意識からの分析を加えることができた。この成果は、平成24年9月22日に台湾の金門で開かれた国際シンポジウム「正一与地方道教儀式」研討会に招待され、「大英図書館所蔵福建ショウ(三水に章)州海澄県道教科儀手抄本(Or.12693)初探」と題して、中国語で報告した。 この写本(群)から、海澄と台南の霊宝儀礼の伝統の共通点と差異点とを浮かび上がらせることができた。主要な成果は以下のようである。第一に、海澄県の写本の目録化、時代と地域、道士の系譜の整理である。第二に、19世紀中葉の当該地域の海上交易業の隆盛およびイギリス艦船の海岸への接近による社会不安が儀礼挙行と不可分であることの指摘である。第三に、安録および出官にみられる儀礼伝統の継承の解明であり、霊宝型の出官儀が行われていたことの考察である。最後に海澄では祈安と功徳のうち、祈安の儀礼のみが行われ、双方を行う台南と異なっており、台南の功徳の淵源の探求が新たに必要となるという従来指摘されなかった問題の提起である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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