2010 Fiscal Year Annual Research Report
敦煌文献および四川石窟資料から見た道教・仏教の社会への受容と浸透
Project/Area Number |
22520048
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
遊佐 昇 明海大学, 外国語学部, 教授 (40210588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒見 泰史 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (30383186)
劉 勲寧 明海大学, 外国語学部, 教授 (90261750)
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Keywords | 敦煌 / 敦煌文獻 / 四川 / 石窟資料 / 道教 / 仏教 |
Research Abstract |
当該年度の8月に四川大学宗教研究所の李剛教授の協力を得て、四川省成都市の道教・仏教関連施設の実地見学を行い、また、安岳県内に散在する石窟群にて直接調査を進め、研究データを蓄積した。これについては検討中で、後日成果として公表していくべく準備中である。遊佐はその一部分の成果をこれまで収集してきた資料と併せて、成都市の道観青羊宮についてその成立と、道観自体の信仰とについての考察を発表した。また、研究分担者の劉は四川省の石窟に残されている石碑、碑文に注目し、分析検討を進めている。これと同時に敦煌文獻中からの資料収集とその検討作業をもう一つの重要な課題として進めている。遊佐は、中国北京の國家圖書館に所蔵されるBD1219、 BD7620文書についての重要性を認識し、兩文書共に翻刻作業を行い、校録を作成した。これらの文書は、これまで存在は確認されていたものの、その実際資料が発見できないことから研究が進まないでいた道教の俗講を示す第一級資料であることを確認し、その分析と検討を進めている。このうちの一部分を2010年度に発表している。敦煌文獻資料調査に関しては、同様な検討作業を研究分担者の荒見も仏教の側面から、精力的に資料の翻刻、校録の作成から初めて、分析と検討を進めている。 当該研究は、敦煌文獻と四川省に残される石窟群を直接の研究対象として、中国社会の中にいかなる信仰が、どのような方法と経路をたどって伝えられ、それがどのように受容されていったのかを具体的に示すことを目的としている。この目的に対して着実に成果に向かっていることを確信している。
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