2011 Fiscal Year Annual Research Report
漢籍抄物を中心とした中世末期~近世初期の学術展開に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22520049
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
町 泉寿郎 二松學舍大學, 文学部, 准教授 (40301733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 晃 上智大学, 文学部, 教授 (00114413)
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Keywords | 日本漢学 / 中世儒学 / 清原宣賢 / 四書学 / 抄物 / 大学 / 中庸 |
Research Abstract |
清原宣賢の「四書」抄物を研究対象として、中世儒学における成果を検証し、更に近世初期の儒学への展開を展望することを目的として、平成23年度においては16回の研究会を実施した。上半期においては、抄物『大学聴塵』の読解成果を編集することに重点を置き、下半期は『中庸抄』の輪読研究会に重点を置いた。前者については、清原宣賢『大学聴塵』(大東急記念文庫所蔵)の影印と翻印を2011年10月に汲古書院から刊行した。後者の研究会では、東洋文庫本(釈梵舜写)と陽明文庫本を対照し、また京大図書館・天理大学図書館の『中庸章句』を併照しつつ進めている。 『大学聴塵』は、鮮明なカラー影印、正確な翻印、適切な脚注に心がけた。本書は、清原宣賢の四書抄に関する最も基礎的な資料として、長く学界で活用されるはずである。更にこの刊行を契機に、清原宣賢の漢籍受容の全幅を検証すべく、『清原宣賢漢籍抄翻印叢刊』として刊行するための計画を具体化し、資料調査と収集を行った。従来は日本語資料として活用されてきた中世漢籍抄の、漢籍註釈書としての意義をあらためて問うものとして、国内外の日本・中国の古典研究者の注意を喚起している。その書目と担当予定者は下記の通りである。 ○易学啓蒙抄2巻2冊(担当者戸川芳郎)、○礼記抄巻1曲礼1冊(担当者戸川芳郎)、○左伝聴塵・春秋左伝抄16冊(担当者岩本憲司)、○大学聴塵1巻1冊(担当者大島晃ほか)、○中庸抄1巻1冊(担当者大島晃ほか)、○論語聴塵10巻5冊(担当者橋本秀美・水上雅晴)、○漢書抄6冊(担当者長尾直茂)、〇六韜秘抄6巻2冊(担当者大島晃・町泉寿郎)、〇三略秘抄3巻1冊(担当者大島晃・町泉寿郎)、○蒙求聴塵3巻3冊(担当者佐藤進・長尾直茂・河野貴美子)、○長恨歌並琵琶行秘抄1冊(担当者河野貴美子)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、3年間の本研究計画期間内で、清原宣賢の『大学聴塵』と『中庸抄』の整理と刊行を計画していた。『大学聴塵』は23年10月に刊行することができた。目下取り組んでいる『中庸抄』整理作業過程で、底本を変更したため、若干の遅れが生じている。その一方で上記2書にとどまらず、『清原宣賢漢籍抄翻印叢刊』として叢書化する計画を進め、その資料収集にも着手しているので、その点では「当初の計画以上に進展」と言いうる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、月例研究会を継続して『中庸抄』の読解・整理作業を進めるとともに、『清原宣賢漢籍抄翻印叢刊』を逐次刊行するための諸準備を行う。具体的には、資料調査・資料収集、また翻印・脚注担当者との情報交換などを行う。
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Research Products
(9 results)