2012 Fiscal Year Annual Research Report
社会科学との関連におけるキリスト教自然神学の再構築─環境論と経済学を焦点として─
Project/Area Number |
22520061
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
芦名 定道 京都大学, 文学研究科, 教授 (20201890)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | キリスト教 / 自然神学 / 聖書学 / 環境論 / 経済学 |
Research Abstract |
平成24度における本研究の成果としては、次の点が挙げられる。 まず、24年度は本研究の締めくくりの年度であり、「キリスト教思想と社会科学との関連におけるキリスト教自然神学の再構築」についての理論的基盤を解明する行うこと、それを環境論と経済学という問題領域において具体的に展開すること、という二つの課題について、3年間の研究の総括を行った。 まず、理論的基盤の解明については次の点が明らかになった。本研究で追及された自然神学の再構築のためには、聖書解釈に戻りそこから理論構築がなされねばならない。それは次の二つの理由による。1.聖書はきわめて多様に展開されてきたキリスト教思想の基盤に位置するものであり、キリスト教思想の基点あるいは土台はここに求めることができるから。2.自然神学の古典的で規範的な事例と言える、西洋キリスト教の歴史的文脈における自然神学がまさに聖書(特に創造論)を基盤として構想されており、自然神学を再構築する場合にも、聖書に帰ることが適切な方法であると考えられるから。 次に、環境論と経済学という問題領域における具体化については、上記の聖書解釈という理論的基盤から聖書の環境思想と経済思想の解明がなされることによって、次の点が明らかになった。聖書の環境思想と経済思想とは、相互に緊密に連関しつつ一つの問題群を形成しており、それは、「契約」というキーワードによって総括することができる。神と人間の契約関係に基づいて、人間相互の契約的関係性が経済を含む社会関係の基盤として成立し、それがさらに人間以外の自然環境との関係理解を支えるという思想構造である。 以上のような研究成果によって示され自然神学の再構築の試みによって、キリスト教とアジアの宗教文化との比較研究がより緻密な仕方で可能になり、さらには、遺伝子工学や原子力といった現代の科学技術の諸問題にアプローチする道が開かれた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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