2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトと動物の宗教関係:日本・ジャワ・バリ・アボリジニの日常生活を通して比較する
Project/Area Number |
22520062
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
ALAM DjumalI 山口大学, 人文学部, 教授 (10290991)
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Keywords | 宗教 / 動物 / バリ / ジャワ / 精神世界 / つながり |
Research Abstract |
研究計画書に従い、22年度は日本国内での研究調査に従事したが、翌年に予定していたインドネシア(ジャワとバリ)での研究調査も、部分的に開始した。以下に、これまでの活動と得られた成果を概略する。 【日本】山口県内および福岡県内で、主に、供養、ペットとコンパニオン、従属(競馬)、鑑賞、記号化(アニメ)、共生、に関するヒト・動物関係の各パターンを観察・取材した。 【ジャワ】ジョグジャカルタ州内で、主に供犠(イドゥル・アダ/犠牲祭を中心に)、タブーと崇拝、従属と共生に関するヒト・動物関係の各パターンを観察・取材した。 【バリ】タバナン県とバンリ県で、摂食(料理)、供犠、共生、鑑賞、従属(闘鶏)、タブーと崇拝に関するヒト・動物関係の各パターンを観察・取材した。 これまでのところは、観察と取材を通しての資料収集および現状把握に重点をおいた。まとまった成果として提示するには、さらなる編集と分析が必要だが、現時点で際立った成果(または発見)の可能性として見込むことができるのは、日本における供養(ペット供養)と鑑賞(自然界と公園)、ジャワにおける従属と共生、バリにおける鑑賞と従属、の諸関係パターンが、研究計画当初において仮定していたかたちよりも、濃厚かつ広範囲であることがわかった、という点である。 たとえば日本におけるペット供養(動物霊園も含む)には専用のお寺が各地で設けられ、ペットという枠を超え、現代日本の新たな家族体系として見ることができる。また、ジャワにおける使役動物は、バリ以上に、現代においても重要なヒト・動物関係を構成している。一方、バリにおける共生は、かつてほど盛んではなくなったものの、ペット・鑑賞・従属というかたちに置き換えられながら、浸透と普及が見られる。
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