2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520071
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
今 義博 山梨大学, その他部局等, 名誉教授 (30115315)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 否定神学 / 肯定神学 / キリスト教 / 新プラトン主義 / 神秘主義 / 象徴神学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究テーマは「西洋中世から近世のクザーヌスに至る否定神学の研究」であり、具体的にはまず、東方キリスト教圏の偽ディオニュシオス・アレオパギテスとマクシモス・コンフェッソールの否定神学を、西方キリスト教圏に導入した9世紀のエリウゲナ、次いで、そのエリウゲナの影響を受けつつ、同時にエリウゲナによりラテン語訳された偽ディオニュシオス・アレオパギテスの著作の影響を受けつつ、否定神学を西洋に定着しようと試みた12世紀のシャルトル学派の否定神学、さらに13世紀のスコラ哲学盛期のトマス・アクィナスとマイスター・エックハルトの否定神学、最後に15世紀のニコラウス・クザーヌスの否定神学を研究することであった。 この年度研究対象とした哲学者は、いずれもこれまで私が多少なりとも研究してきた哲学者であったので、当初は研究の遂行にはそれほどの困難はないと予想していたのであるが、いざ研究を進めるといくつかの困難に直面した。特にシャルトル学派のプラトン主義のうちに否定神学を剔抉せんと試みたのであるが、必ずしも成功したとは言えないのが反省として残った。またトマス・アクィナスとマイスター・エックハルトの否定神学については最近、諸外国で新しい研究成果が多く現れており、それらを十分に踏まえて研究を押す進めたかったが、時間の制約のためそれが果たせなかった。そのほかについては概ね満足出来る成果を得たと思う。 クザーヌスの否定神学の研究によって、近世以降の否定神学の動向と、特に現代におけるハイデッガー、E. フィンク、レヴィナス、デリダ、マリオン等の否定神学についてある程度の見通しを得ることができたのは予想を超えた成果であった。 本年度はテキストの分析と概念史的・哲学的考察とに忙殺されて、結局、時間的制約から論文の形にまとめることができなかったが、今後、論文や専門書に仕上げて発表するつもりである。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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