2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520077
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
中村 秀樹 上智大学, 文学部, 講師 (90468596)
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Keywords | キリスト教神学 / 教父思想 / アウグスティヌス / ティコニウス / サン・ヴィクトール学派 / 聖書解釈学 / 中世研究 / 哲学 |
Research Abstract |
【研究の意義】本研究は、西方キリスト教における最も重要な思想家の一人であるラテン教父アウグスティヌス(354-430年)が、自らの神学全体とその教育に関する見取り図を展開した『キリスト教の教え(De doctrina christiana)』(全4巻)の総合的研究を目的としている。同著作はその後の思想史において広範に受容されており、それゆえキリスト教的ヨーロッパ思想の理解のために非常に重要な意味を持つものである。しかし国内においては、同著作が本来有しているキリスト教神学の文脈を十分に顧慮しない現代の言語解釈理論の視点からの研究が主流である。これは国際的な研究動向からすればきわめて一面的なアプローチである。そこで本研究は、国内研究に対し三つの具体的目的を掲げた。 【目的】国内研究に対しては、(1)原著が置かれたキリスト教神学の本来的文脈の観点から、これまでの国内外の研究成果を総括した『キリスト教の教え』の邦訳・註解書を刊行する。(2)同著作の中での言及・引用が重要な意味を持つドナティスト派神学者ティコニウスの『規則の書(Regula)』の邦訳・註解書を刊行する(国内初訳)。(3)国内では圧倒的に参考文献が少ない領域である古代から教父までの聖書解釈学の歴史を扱ったManlio Simonetti : Biblical interpretation in the early Church : an historical introduction to patristic exegesis(Edinburgh : T&T Clark, 1994)の邦訳を刊行する。また国際的研究の次元においては、(4)研究代表者がその兼任研究員であるHugo von St.Viktor Institut fur Quellenkunde des Mittelalters, Frankfurt/Mainとの連携のうちに国際学会を企画開催し、研究成果を発表する。 【成果】(1)平成22年8月5日から8日まで研究合宿を行い、『キリスト教の教え』全巻のラテン語原文に基づく内容検討が終了し、下訳は研究協力者によって全巻終了した。(2)本学中世思想研究所における研究会で研究協力者の下訳に基づいて『規則の書』全巻の内容検討が終了、下訳も終了した。また、本学大学院生がティコニウス関係の一次・二次文献資料の網羅的調査および蒐集を行った。(3)研究協力者と他大学大学院生による下訳が終了した。(4)研究代表者は、平成23年3月にドイツ・マインツ大司教区アカデミーにおいて国際学会《Antike und mittelalterliche Quellen als Grundlage moderner prosopographischer Forschung》を共同企画し、聖書解釈学史の観点からの発表招待を受け、それを行った。
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Research Products
(5 results)