2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520082
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Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
李 彩華 名古屋経済大学, 経営学部, 准教授 (10310583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 博 長崎総合科学大学, 人間環境学部, 教授 (20341555)
岩崎 正弥 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (40221791)
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Keywords | 梁漱溟 / 江渡狄嶺 / 菅原兵治 / 理知・理性 / 地域協同 / 農業擁護思想 / 郷村建設理論 / 地方自治 |
Research Abstract |
本研究計画は、当該年度において、(1)梁漱溟の農業擁護思想と中国の農村状況を現地調査すること、(2)日中共同研究会を開催し、日中の伝統的な農の思想の持つ可能性と復元力を捉えなおすことに照準を合わせた。(1)としては、8月に北京大学と中国社会科学院を訪問し、研究者たちとの座談を通じて、中国における梁漱溟研究の現状、農村問題では近年において生態農業が展開されている状況などを考察することができた。さらに1930年代に梁漱溟の「郷村建設運動」が行われた山東省鄒平県を訪問し、かつての梁漱溟の郷村建設理論が実践された歴史を辿るだけでなく、現在の鄒平県農村の変化、郷鎮企業の発展についても視察ができた。グローバリゼーション状況下に置かれた中国の農村経済は、農業そのものの発展を推進するというより、むしろ郷鎮企業に起点をもつ大規模な工業を発展させていくことに力を注いでいるように見て取れた。(2)としては、同8月に山東大学にて共同研究会を開催し、日中の農の伝統思想と現代について活発な発表と討論が行われた。以下は発表者およびそのテーマの一覧である。研究協力者李善峰教授(山東省社会科学院):「梁漱溟の郷村建設理論および現代中国にとっての意義」、分担者木村:「江渡狄嶺と梁漱溟-那事(なに)と無表示をめぐって」、分担者岩崎:「江渡狄嶺・農本思想・地方自治」、代表者李:「梁漱溟の郷村建設理論と日本一昭和初期頃までの関わりを中心に」。なお、山東大学の牛建科教授が研究協力者として司会や通訳、コメンテーターを務めて下さった。日中共同研究会の延長線上に、日本側の研究者は翌年の1月に愛知大学にて研究会を開催し、木村が「理知と理性および知解(ちげ)と行解(ぎょうげ)をめぐって」、岩崎が「江渡狄嶺・権藤成卿・菅原兵治」、李が「協同・共生の視点から考える江渡狄嶺の農業擁護思想」について報告し、議論の共有と深化を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、農業の振興、農村の再生を導く日中の「農」の思想の復元力を明らかにすることを基本目的としてかかげるものである。この「研究の目的」に向けて、現在交付申請書に記載した研究計画通りに滞りなく研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究会と講演会を開催することが予定されている。インターネットを通じての発信を、最終年度で行えるよう準備していく予定である。これまで現地調査、討論や共同討議を重ねて得られた結果を取りまとめ、論文集の刊行に向けて進めていく。
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