2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国イスラーム「道学」思想の発展とジャーミー思想の思想系譜学的研究
Project/Area Number |
22520086
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Research Institution | St. Thomas University |
Principal Investigator |
松本 耿郎 聖トマス大学, 人間文化共生学部, 教授 (00159154)
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Keywords | 道学 / 完人 / ワラーヤ / 第二の存在 / 慈愛 / 愛における一致 |
Research Abstract |
本年度は研究プロジェクトの第一年度であるので主として資料の収集と現地調査および資料の解読と分析を中心に研究を進めた。資料の収集としてはアメリカのイスラーム思想研究に関する博士論文のコレクションを購入した。このコレクションの購入により「イスラーム存在-性論」系統の思想の思想的系譜を鳥瞰することができるようになった。現地調査は中国天津の天穆村の回民地区を訪問し、この地区の経堂教育においては現在もなお十三本経の学習を根幹とした伝統的経堂教育が行われていることを確認することができた。天穆村の経堂では文化大革命中には十三本経の学習は途絶えていたが文化大革命後これら伝統的な教科書の学習が復活したということである。天津市内の清真寺の教長の大多数は天穆村の経堂の出身者であり、この十三本経の学習により養成された人たちである。天津以外の地区では河北省の穆庄子と丁庄子という二つの回民村でこの十三本経の学習が継承されているということである。これは中国の他の回民地区の教長が現代アラブ・イスラーム世界のアラビア語学習の方法で養成されるのと際立った特徴を示している。済南の楊宝泉阿衡は十三本経のカリキュラムの最終段階におけるペルシャ語文献の学習のことを「道学」と呼んでいるが、この場合のカリキュラムの最終段階にジャーミーの『アッシアトッラマアート』が置かれている。この書物は愛の存在-性論が述べられているものである。このためジャーミーの愛の説の理解に資するのでジャーミーの愛の叙事詩『ユースフとゾレイハー』について研究し、論文二編を発表した。
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Research Products
(4 results)