「住む」ことを学ぶ――ハイデッガー居住論とモダニズム建築――

2012 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 22520088
• Research Institution: Tsuyama National College of Technology
• Principal Investigator: 稲田 知己 津山工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (70221778)
• Project Period (FY): 2010-04-01 – 2013-03-31
• Keywords: 住む / 居住論(トポロギー) / 建築史 / モダニズム建築 / 詩作と思惟 / ル・コルビュジエ / ハンス・シャローン / ハイデッガー

Research Abstract

本研究は、「住む」ことを学ぶために、ハイデッガー居住論をその時代から、当時まさに勃興しつつあったモダニズム建築との関連のもとで考察しようとしている。つまり本研究は、これまでほとんど前例のない、哲学と建築史との学際的研究をめざしている。この趣旨に沿って、当該年度は、欧州への長期出張をおこない、モダニズム建築の実地調査、関連文献の収集に従事してきた。
このようにして得られた知見をもとに何本かの論文をこれまで執筆してきたが、本研究は各界からの大きな反響があった。なんといっても、哲学と建築史との学際的研究というテーマはユニークで、注目をあびることにもなった。その具体的な成果として、以下のものがある。
まず、本研究テーマで執筆した既刊論文を大幅に加筆したものが、日独文化研究所年報『文明と哲学』第5号(こぶし書房、2013年5月出版予定)に掲載されることになった。その論文名は「住むことを学ぶ-ハイデッガー居住論とモダニズム建築-」である。また、法政大学出版局から2014年に出版予定の『ハイデガー読本』において、「世界に住むということ<物><建てる、住む、考える><詩人的に人間は住む>」という章を、本研究者が担当することになっている。
以上のように、本研究は科学研究費補助金の支援を受け、適切に研究を遂行し、その研究成果を着実におさめることができたと言えよう。