2010 Fiscal Year Annual Research Report
マニエリスムの「時代の眼」:ジュリオ・カミッロの美術論の再構成に基づく
Project/Area Number |
22520089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
足達 薫 弘前大学, 人文学部, 准教授 (60312518)
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Keywords | ジュリオ・カミッロ / マニエリスム / イタリア美術史 / 美術史 / 美学 / 芸術学 / 思想史 / 文学史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ジュリオ・カミッロの美術論の再構成、およびそれに基づくマニエリスム様式の実証的検証である。本年度は以下の研究・調査を行った。 (1)テクストの翻訳と註釈 16世紀に編纂された『ジュリオ・カミッロ全集』(当時のトスカナ語で書かれている。研究代表者は1566年版を所有している)を底本として用い、各テクストの翻訳と註釈を進めた。 (2)翻訳と註釈のための資料調査 ローマ(国立中央図書館「ヴィットリオ・エマヌエレ二世」等)で文献資料の調査を行った。 (3)カミッロと同時代の詩人フランチェスコ・ベルニのテクスト『反詩人対話』(1525年頃)の歴史的重要性を認識し、カミッロとベルニの接点を考察した。 (4)カミッロの美術論から強い影響を受けたロマッツォのテクスト『絵画の神殿のイデア』(1590年)の分析を進めた。そこに記された絵画主題論(サビニの女の略奪をめぐる考察)が、ジャンボローニャの彫像(フィレンツェ、共和国広場)と至近距離で共鳴していることを指摘し、今後の実証的研究への可能性を提示した。これは以下の論考として発表された。諸川春樹責任編集、松浦弘明、喜多村明里、足達薫、金山弘昌、金井直著『彫刻の解剖学 ドナテッロからカノーヴァヘ(イメージの探検学I)』ありな書房、2010年10月20日。共著。執筆箇所145-188ページ(第4章「《サビニの女の略奪》--ジャンボローニャとマニエリスム」) (5)研究成果の途中経過の発表 平成22年度第1回美学会東部会例会(東支部)6月5日(土)午後1時30分~慶應義塾大学三田キャンパス 第一校舎2階・122番教室。足達薫(弘前大学)ジュリオ・カミッロ『模倣論』精読-マニエリスム再検討のための一次資料研究
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Research Products
(2 results)