2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520090
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長岡 龍作 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70189108)
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Keywords | 観音像 / 大藏寺 / 小沼神社 / 八槻都々古別神社 / 仁寿舎利塔 / 霊験 / 庭園 / 平等院鳳凰堂 |
Research Abstract |
年度当初の計画通り、(1)感応そのものの表象、(2)感応の場、(3)感応の場の表象の三つの柱を立てて、調査と分析を進めた。柱ごとの成果は以下の通り。 (1)東北地方の寺社に遺る観音像について総合的に検討を加えた。対象とした寺社は、仙台市十八夜観世音堂、福島大藏寺、秋田小沼神社、法用寺、八槻都々古別神社である。その結果、観音像自体の霊験表現と像が置かれる場所の意味を明らかにした。 (2)(1)中国階代仁寿舎利塔の起塔地、(2)平安後期以降の寺院の庭園を現地調査し、それらの景観の構造を分析した。(1)では、文帝が自ら指示した起塔寺院のうち、脛州大興国寺、蘇州虎丘山寺、秦州静念寺、秦州永寧寺、蒋州栖霞寺、雍州西寺の景観と土地の意味について分析を加えた。(2)では、樺崎寺跡(栃木県足利市)、東福寺(京都市)を現地調査し、庭園と堂宇の関係について見通しを得た。また、仙台市龍實寺に伝来する清掠寺式釈迦如来像の原所在地(金成)を調査し、像と景観の有意な関係を明らかにした。さらに(4)高橋由一の思想について感応の観点から分析を加え、彼が構想した螺旋展画閣が江戸時代のさざえ堂に起源を持つことをあらためて確認し、由一の絵画の展示施設構想が、人の心性に働きかけるという動機に支えられていることを明らかにした。 (3)奈良時代から平安時代までの庭園について文献的な検討をおこない、庭園の仏教思想上の意味を分析するとともに、平等院鳳鳳堂仏後壁の表現について分析を加え、その主題が阿閣世王の釈迦への帰依であることを新たに示した。その成果は美術史学会東支部大会ならびに『日本思想史講座1-古代』においそ発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したとおり、現地調査と文献の検討を継続的におこなっており、新しい解釈を得ることに成功しているので、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度にあたるため、三年の研究を総括することを心がけるとともに、次年度以降の研究へと発展させる方向性を検討する。
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Research Products
(7 results)