2011 Fiscal Year Annual Research Report
ファシスト・モダニズムにおける政治と美学の相互浸透に関する研究
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22520093
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
石田 圭子 東京芸術大学, 美術学部, 講師 (40529947)
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Keywords | ファシズム / モダニズム / 政治と美学 / ゴットフリート・ベン / アルフレート・ボイムラー / ホフマンスタール / エルンスト・ユンガー / ローゼンベルク |
Research Abstract |
1.ファシズムの美学思想に関する資料収集と研究 昨年の第60回美学会全国大会にて口頭発表した研究内容(発表題目:ゴットフリート・ベンとアルフレート・ボイムラー-神話的芸術観とナチズムー-)を論文としてまとめ直し、大学紀要に発表した。(論文題目:ゴットフリート・ベンとアルフレート・ボイムラー-「占星術的」芸術観とナチズム-)また、アルフレート・ローゼンベルクの美学・政治思想について調査研究を行った。さらに、昨年訪れた「ヒトラーとドイツ人展」の展示会評をまとめた。 2.ファシスト・モダニズムに関する資料収集と分析 ホフマンスタールおよびエルンスト・ユンガーについて調査・、分析を行い、Gestaltという観点からナチズムの思想との関連について考察し、結果を論文にまとめて発表した。(論文題目:形姿(ゲシュタルト>と<芸術-政治共同体>)。ゴットフリート・ベンの詩作と政治の関係について調査研究を行った。 3.現代における芸術と政治の連関に関する調査・研究 8月に沖縄を訪れ、記念碑の表象における芸術と政治・記憶との関係について調査を行った。また、11月にはベルリンを訪れ、ホロコーストの記憶と表象に取り組むアート作品やアーカイヴについて調査を行った。 以上の研究を通して、「Gestalt」「形式」という観点からファシスト・モダニズムにおける政治と美学の相互浸透の一端を解明することができた。また、現代の表象における政治と美学の浸透が記憶の問題と深く関わっているという事象について、調査と考察を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定以上に多くの研究論文や書評を発表することができた。また、現代における政治と芸術の関係について多角的に調査することができ、あらたな視野と見解を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年は調査研究を進める。関連分野の研究者との交流を通して、問題に関する見聞を広めて考察考深化させることを目指す。また、これまでの調査・研究の成果を著書としてまとめることに専念し、本年度内の刊行を目指す。
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